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1957. チャットGPTより [学校生活から]

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                          チャットGPTのサイト

 職員室である先生と「チャットGPTは人間の創造力を超えられるか」という話をしていた時、彼は「人間にはAIでは及ばない能力がある」と、こんな話をしてくれました。

 2015年に芥川賞を受賞した又吉直樹氏は大の読書家です。彼は、
「千冊以上本を読むと、頭の中で文字がどんどん湧いてきて文章になっていく」
と言っています。

 先人が書いた文字が、意識下に埋もれている自分の感覚や感情を意識上に引き上げてくれる、というのです。したがって、そんな無意識の世界が存在しないチャットGPTは、人間の創造力を超えられないという訳です。時々、ブログを書く事で意識が明確になる私は、その感覚がよく分かりました。

 私の考査の作文問題で、なかなか文章が書けない生徒がいます。その指導に悩んでいた私は早速このアイデアを頂く事にし、生徒に乙武洋匡氏の『五体不満足』を音読する課題を与えました。現在、週一回私と交互に読み進め、その後感想文を200字書かせています。

 本の内容がためになるし読みやすいので、彼女はこの講習を喜んで受けています。想像以上に読めるし書けます。おそらく彼女にはじっくり本を読むという経験が無かったのでしょう。彼女が本来の能力を取り戻すのに、そんなに時間はかからないと思われます。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 一度はしたい 授業ボイコット。  (酢)

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1955. 満点 [学校生活から]

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           ジローラモ氏 (ジローラモ氏のH.P.より)


 女子生徒達が、
「一緒に歩くのはいいけど…」
などと楽しそうに話しているので、
「誰の事?」
と聞くと、岡田准一を渋くしたような50代独身のイケメン先生の事でした。

 彼は寡黙でじっくり考え抜いてから発言し、言い間違いや訂正の場面を見せた事がない立派な先生です。聴いていて、なるほどと思いました。親御さんなど周りから見て絶対に問題ない人ほど、当人達は食指が動かないんですよね。完璧なイエス様よりは、チョイ悪のジローラモといった所でしょうか。なぜなのか考えてみました。


 結婚相手が完璧な人であったら、こちらは長い人生コンプレックスの連続で苦しむ事になるでしょう。どの分野でも勝ち目はないのですから。それよりは、
「こんな事も知らなかったの?」
「これ中学校で習ったはずだろ?」
と、互いに小さな優越感を味わえる程度の不完全な人間同士の方が、幸福度は高そうです。とは言え、ジローラモ氏が実際どうなのかを私は知りません。ここはあくまで程度問題ですけどね。

 私は学習指導でも生徒指導でも、はたまた結婚相手でも新車でも、目標の8割満足出来るならそれで100点満点だと思っています。そんな目で世間を見ると、気分がグッと楽になります。


** 高校生のコトバ **************************

川柳 :  お姉ちゃん 洗顔すると 別人だ   (みるくてぃー)

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1953. 立派な生徒 [学校生活から]

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                        皆勤賞 (フリー画像より)

 前回のRchoose19様のコメントに刺激されたので、「精神的に出来上がっちゃってる子供」について書かせて頂きます。

 私は、教員を超える立派な生徒達を何人も見てきました。例えば、私が初任地で初めて受け持った高2クラスの一人の女子生徒。当時の私はとてもヤンチャな生徒達を相手に悪戦苦闘の一年間を過ごしていました。その年度の終わり頃、彼女が、
「先生が日々成長していくのを感じて嬉しかったです」
と言ってくれたのです。この一言には負けました。

 また同校に一人、基礎学力が無いため授業に全くついて来られない女子生徒がいました。しかし彼女は黒板をしっかり見て授業を受け、皆勤賞をもらって卒業していきました。学校生活の中で何一つ手を抜かない姿勢から、彼女はまるで観音菩薩のように見えました。

 一方ひどい暑さの炎天下、木陰に座って監督する先生をしり目に、2時間わき目もふらずに除草作業を続けていた農業高校生もいました。見事な職人魂を感じ、彼ならどんな場面でも信頼されるに違いないと感じました。

 知識や技術の豊かさと人間性の豊かさは全く別物です。恥ずかしい話、知識の量だけで人間性の低さをカバーしようとする教員も確かにいます。こちらは、むしろ他山の石とすべき反面教師です。つくづく「人皆わが師」と感じます。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 夏休み 休めた頃が なつかしい  (名有りさん)

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1952. 大学入学共通テスト [学校生活から]

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                    大学入学共通テスト (読売新聞オンラインより)

 大学入学共通テストが終わりました。校長先生の許可を得て始めた自宅からの夜のリモート講座には6名の生徒が参加し、週5日の日程を最後まで全員頑張りました。私も張り切って、倫理20年分、政経26年分という大量の過去問をこなしました。12月の模試で偏差値66という好成績を取る生徒も出て、本番が楽しみでした。

 ところがふたを開けてみたら、期待した程の点数がとれていません。私は反省せざるを得ませんでした。数多く過去問に当たる事は、効率的ではなかったようです。試験問題は年々思考力を問うものが増えており、また五択問題でも正答が一つから五つまでの「組み合わせ」で答えさせるものが増えてます。来年は「正答なし」が正解という意地悪な問題も出るかもしれません。

 後日、落ち込んでいた一人の生徒から手紙をもらいました。そこには私への厚い謝意が述べられてあり、反省しきりの私は大いに慰められました。中に私をウルっとさせた一節がありました。
「受験は自分の為だよと周りは言うけれど、自分の為だけだったらこんなに最後まで頑張れません。必死になってくれる先生の姿が私の力の源でした。」

 私は十分な知識はつけてやれませんでしたが、精一杯指導した姿が生徒に役立っていたと知って、目から鱗の落ちる思いでした。そして、来年度こそもう一工夫凝らした「思考力を高める指導」を是非したいという元気をもらいました。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 「大事な事なので、一回しか言いません。」 大事なことなら何回でも言ってくれ。(らっこちゃん)


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1936. 面接試験 [学校生活から]

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                    隣が気になる集団面接 (フリー画像より)

 3年生の授業が終わったら、一人の生徒が訊いてきました。
「先生、今週の金曜日、面接試験なんです。私上がり症なんで、どうすれば上がらなくなりますか?」
「上がる」というのは、いつもと違う自分を「演じる」ストレスから来るプレッシャーです。したがって、日ごろ職員室の出入りなどを利用して、
「失礼します」
「〇〇先生いらっしゃいますか?」
「ありがとうございます」
といったごく常識的な会話を身につけていれば、普段通りでいいのですから上がらないはずです。

 実は、彼女はほとんどそれができている生徒です。したがって、
「いつも通りでいればいいよ」
と言ったのですが、彼女はそれ以上効果のある方法を求めています。あと三日しかないので、何をやってもメッキはすぐ剥がれます。

 そこで、
「きちんと上がるのもいいんじゃない?」
と、アドバイスしました。私も何回か面接官を担当しましたが、しっかり上がっている事が感じられる受験生もかわいいものです。昔は足を投げ出して虚勢を張ってみせる受験生もいましたが、どうふるまおうと気持ちは透けて見えます。むしろ
「今上がっているので、うまく答えられなくてすみません。」
と正直に答えてくれる受験生の方が好感が持てます。正直が一番。将来の入社試験に備えて普段の自分の言動を磨いていきましょう。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : もう少し 寝るとつぶれる 休みの日  (ももだんご)

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1923. 祝勝会 [学校生活から]

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                            剣道 (フリー画像より)

 勤務校の中学3年生が、剣道の全国大会女子の部個人戦で優勝しました。団体戦もベスト16に入り、今日全校生と保護者が集まって祝勝会が開かれました。4人からスタートした剣道部、9年目での快挙です。早朝から放課後まで、顧問の女性教諭がつきっきりで指導に当たり、生徒達も先生を信頼してピッタリついて来ています。先生からの指示を仰ぐ目はどの生徒達も瞳孔が大きく見開き、まるであこがれのスターを見るかのようです。

 壇上で挨拶した選手達は皆、祝賀会を開いてくれた学校への感謝に始まり、朝早く体育館を開けてくれる警備員さん、夜遅くても迎えに来てくれるお父さん、仕事を休んで応援に来てくれるお母さんなど、自分達をサポートしてくれる方々への感謝の言葉が続きました。

 一人の生徒が、
「私は毎朝、顧問の先生から言われた『自分のやるべき事を一つひとつきちんとやる』という事を実践しています。」
と語りました。ついつい端折りがちな小さな当たり前の事をきちんと言葉で伝えるのは、とても難しいものです。しかし先生はたとえ小さくても礼儀作法はきちんと指導します。これが全国大会優勝のベースにあると感じました。

 こんな先生に出会え、持てる力の全てを出せた生徒達は本当に幸せです。一方フロアから我が事のように拍手で讃える生徒達を見ていたら、突然「彼女達、彼らも、みんなそれぞれに日本一なんだよなぁ」という不思議な感覚になりました。

〇昨年の団体戦準優勝の時の時のブログです。
http://manabino-tsudoi.blog.so-net.ne.jp/archive/20221003

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 母の日は 少し控えめ 反抗期  (K)

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1913. 働き方改革 [学校生活から]

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                            働く人々 (フリー画像より)

「最初は彼らと何度もぶつかりました。」
外国人労働者を積極的に受け入れている社長さんがテレビで語っていました。
「彼らは、勤務時間さえしっかり働けば自分達の義務は終りと考えます。しかし私は、仕事をきちんと仕上げてこそ一人前と考えます。」
 この対立、学校でもあります。勤務時間外は自分の自由という先生方と、生徒のためなら時間外でもやらねばならない事があるという先生方です。

 私はこの対立に、今の「働き方改革」問題と通じるものを感じます。外国人の考え方が「働き方改革」側で、社長さんがこれまでの勤労観です。「働き方改革」の目的は、「魅力ある職場づくり」です。そのための手段として、政府は時間外労働を厳しく制限しています。したがって、たとえ仕事の途中でも終業時刻になれば帰宅せねばなりません。

 しかしこの状況、学校現場では「手段」が「目的」化されているように思われてならないのです。教育は、単なるモノづくりとは違います。教員にとっての「魅力ある職場」とは、下準備が十分できた授業のできる教室であり、仲間と公平な業務分担がなされている職員室です。時間切れによる教材研究不足や仕事に過不足の出る情況は、生徒や他の先生方に迷惑をかけるだけです。

 私はより良い職場環境をめざす事には大賛成ですが、学校の勤務時間を一律に厳格化する事には反対です。それより教員が本務に専念できるよう職員の増員を柔軟に考えて欲しいと思います。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 「私を信じて」と言うヤツほど、簡単に人を裏切る。 (E.K.)

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1874. 匂い [学校生活から]

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               亜炭の匂いのしていた昔の仙台駅

 授業終了後、3人の生徒達がプロジェクターを片付けにやって来ました。その内の一人からフッといい匂いがしたので、
「オッ、いい香りがするね」
と言ったら、
「柔軟剤だと思うんですけど、嬉しいです」
と喜んでくれました。


 匂いは、一瞬にして私を60年前に連れ戻してくれます。小学生の頃、私は年に一回母に連れられて東京の祖父母宅に泊りに行きました。行くたびに違和感を覚えたのは、その地域特有のにおいでした。2~3日で慣れるのですが、今でもそれに近いにおいを感じると当時の風景が目に浮かびます。帰ってきて仙台駅に降り立つと、匂ってくる仙台独特の亜炭臭にホッとしたものです。おそらく嗅覚は、私達生物が生存するためのセンサーとしての重要な役割を担っているのでしょう。

 授業中、
「将来、色の三原色みたいに匂いの三原素が見つかって、匂いの出るテレビなんてできたらいいよね。」
と言ったら、一人の生徒が、
「嫌な臭いが出るなら嫌だ~」
と反応しました。確かにそうですよね。私も、
「あの先生ちょっと変な臭いしてたね」
といった形で60年後まで生徒達に覚えられる事の無いよう、気をつけねばと感じました。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : がんばろうとしている人へのプレッシャー、「がんばれ!」  (Y.S.)

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1884. 叱られる [学校生活から]

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                            叱る・叱られる (フリー画像より)

 放課後、近くの先生の所に一人の生徒がやって来ました。彼女はその先生の授業の出席時数が足りないため、時数不足を補う課題を朝に渡されたようです。ところが、その課題をその日の午後に担任を通して提出したのです。先生は怒って彼女を放送で呼びつけました。

先生「あなたに出した課題は、休み時間と昼休みだけでチョッチョッと書けるような簡単なものではないはずです。そんないい加減なものは受け取れません。」
生徒「先生は中を読みましたか?」
先生「…」
生徒「中を見てから言って下さい。」

 私は「す、すごい!」と驚くと同時に、正論だとも感じました。彼女もそれを察してか、私を見てニコッとしました。余裕です。「(律法の)形式より中身」、これこそ本校の指導目標にあるキリスト教精神ですから。さらに指導者は問題点をきちんと掴んでおかないと、適切な指導はできません。おそらく二人の“反り”はすっかり合わなくなっているのでしょう。彼女は授業すら出たくない程です。

 その後、この生徒がどうなったかは分かりませんが、落第者がいない所をみると何とかなったようです。でも皆さん、彼女から一つ学んで下さい。社会に出たら、嫌な人と一緒に仕事をしなければならない場面はたくさんあります。いちいちキレていたら自分が損をします。そんな時はそこを自分の「修行の場」と捉え、イライラを最小限に抑えながらうまく付き合う術を見つけて下さい。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : 田舎から 孫に会おうと 仙台へ 使う体力 惜しむことなし (⑨)

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1882. 言葉探し [学校生活から]

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                          放射線治療の医療機器

 今日年度初めの職員会議がありました。着任した再就職の老先生が、私と15年前に同僚だった先生が、癌で声帯を摘出したと話してくれました。教員は足腰が立たなくなっても松葉づえや車イスで授業はできますが、声が出なくなったらお手上げです。彼は教職を去ったそうです。離任式でのお話は手術直前だったので絞り出すように話されていて、見送る生徒達はすすり泣いていたそうです。お見舞いに行かねばという気持ちにはなりましたが、実は回復の見込みがない患者さんへのお見舞いは、本当に大変です。言葉に詰まってしまうのです。

 かつて別な学校の先生が脳腫瘍にかかりました。手術のできない場所なので抗がん剤や放射線で治療を試みたのですが効果が現れず、退職するらしいという話が聞こえてきました。私はお見舞いに行ったのですが、その日はこれが最大で最後という放射線照射を行った直後でした。個室のベッドから静かに私を迎えた先生は、弱々しい声で、「私の机の中の物は全て処分して下さい。」とおっしゃいました。私は言葉が見つからず、困りました。「がんばって下さい」も白々しいし、「きっと天国に行けますよ」は失礼な気がするし…。病室を出る時、目と目を見合わせて「どうかお大事に」程度しか思いつきませんでした。

 相手の身になって発言せよとはよく言われますが、想像力が追いつかない位辛そうな相手にどんな言葉をかけるかは、本当に難しい問題です。

** 高校生のコトバ **************************

名言:  地方の方言しゃべってよと言われると、よけいしゃべれない。 (M.T.)


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1878. 挨拶 [学校生活から]

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                           挨拶 (フリー画像より)

 学校、特に高校の先生は、挨拶がへたです。挨拶は生徒からされて返すものと思っている人が多いからです。困ったクセですが、個性なので管理職も強制はできません。もちろん出会った瞬間、火花が散るように「おはようございますっ」と元気に挨拶をする先生もいますが、民間の営業職や事業主に比べたら少数派です。

 以前、自分からは絶対に挨拶をしない先生が生徒指導部に配属され、挨拶運動の係になりました。風紀委員達の腕章を購入し、校内には風紀委員の描いたポスターを貼り、万全の準備で挨拶週間に臨みました。初日、先生は朝早くから門の所に立ち、生徒達に大声で「おはようございま~す」と声掛けしたのですが、生徒の中にはギョッとして、つぶやくように「おはようございます」と返す人が少なくありませんでした。やはりつけ刃では人を指導できません。先生も相当辛かったらしく、週明けにはいつものムッツリに戻っていました。

 「道徳は背中で教えるもの」とおっしゃった先生がいました。生徒は先生の生きる姿から学びます。もしも皆さんの周りにこんな先生がいたら、この場合は皆さんは反面教師として学んで下さい。挨拶は心の窓。相手の目を見て明るく挨拶すれば、必ず相手は返してくれます。以前書いたかもしれませんが、校舎内外に生徒の挨拶が凛凛と響く学校には、不審者は入れません。彼らはまともな挨拶ができないので、生徒からの不審者通報がすぐ職員室に届くからです。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 水星、冥王星、木星、海王星…、でもなぜか地球。  (M)

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1865. 校長先生の話 [学校生活から]

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                 医療従事者への一斉の拍手〔英国〕(BBCニュースより)

 昨日は勤務校の卒業式でした。シスターの校長先生は、卒業生にこんな文章を送られました。

****************(要約)
 私達はコロナ禍から何を学んだでしょうか。フランス等では外出規制下、自分達の生活を支える医療従事者に敬意を表して、毎晩8時に窓辺に立って拍手を送っていました。修道会は自宅に戻れない医療従事者にパリのアパートを開放し、レストランのシェフは病院に仕出しを差し入れました。一方、日本では医療従事者を親に持つ小学生へのいじめが報道されました。私達の価値観と教育が問われています。

 現実世界を理解するには、狭い自分の視点を広げ、他者への想像力を持つ事が必要で、そこから対話が可能になります。異なる見解を持つ人間同士が相互理解への努力を諦めず、互いに相手を尊重して理解に努める姿勢を培う事ができますように。

 同時に、矛盾するようですが、お互いに理解し尽くす事は出来ないという不可侵性への深い敬意もわきまえる必要があります。皆さんが、人や社会、自然との友愛の懸け橋となって下さる事を願い、お祈りいたします。
****************

 先生は、私達の聖書講読会の講師でもあります。性急に回答を求める私達の前で、先生は言葉にできないキリスト教世界の深奥を何とか説明しようと苦心されています。水泳の楽しさや食事のおいしさと同じく、宗教的体験は経験しなければ知りえない世界ですが、それを言葉で伝えようともがかれているお姿に、私は誠実さを感じています。                 

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 兄妹ゲンカ 今となっては 懐かしい   (A.S.)

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1864. 試験問題 [学校生活から]

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                      試験を受ける女性 (フリー画像より)

 パソコン室で考査の成績処理をしていたら、若い非常勤講師の先生が近くの先生に質問する声が聞こえました。
 「全く同じ問題なんですが、1組の平均が90点台なのに2組は50点台なんです。この点数、このまま出して大丈夫でしょうか?」
 聞かれた先生は一瞬言葉に詰まりました。ここでは「平均点は65点前後」という申し合わせがあるからです。

 しばらくして、
 「点数の高い子を下げる訳にもいかないので、そのまま出して下さい。」
との言葉が出ました。私は他人事ながらホッとしました。同じ問題なら、その「土俵上」で勝負している生徒達の点数に手を加えてはいけないと思うからです。

 確かにクラス間に平均点の差は出ます。しかしその差を小さくする事も可能です。例えば配点の高い『作文問題』や、選択肢を用意した教科書本文の『穴埋め問題』のような易しいものを入れるのです。これで大部分の生徒が15~20点からのスタートになります。初任の頃、カンニング防止のために出した作文問題でしたが、様々に応用が効く事と点数の底上げに役立つ事から、40年経った今でも続けています。

 このやり方が正しいかどうかは分かりませんが、職員室に戻ってから講師の先生に私なりのやり方と断ってお話しました。試験問題は、どの生徒にとっても次の学習への意欲に繋がるものでなくてはならないと思っています。

** 高校生のコトバ **************************

どどいつ : 誰かに言われて なくす個性なら 私は一生 透明でいい  (終身雇用)

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1810. コヘレトの言葉 [学校生活から]

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                           生徒達が持っている聖書

 勤務校の廊下に、旧約聖書の『コヘレトの言葉より』(抜粋)という聖句が貼られてありました。

***********************
天(あめ)が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。
生まるるに時があり、死ぬるに時があり、
植えるに時があり、植えたものを抜くに時があり、
愛するに時があり、憎むに時があり、
戦うに時があり、和らぐに時がある。
 神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終りまで見きわめることはできない。
 わたしは知っている。人にはその生きながらえている間、楽しく愉快に過ごすよりほかに良い事はない。
 わたしは知っている。すべて神がなさる事は永遠に変ることがなく、これに加えることも、これから取ることもできない。神がこのようにされるのは、人々が神の前に恐れをもつようになるためである。
***********************

 全てに時があるという考え方は、一見「全ては人の努力と無関係」という宿命論のように見えます。しかし私はここを、「全てに熟す時期があり、神はその時を待って人にそれを与える」と読みました。たとえ不本意な出来事が起きても、神の計らいを信じてそこを乗り越えよ、と。神への絶対的な信頼と畏怖の念は表裏一体なので、この姿勢は私達の傲慢な生き方を戒めます。これはキリスト教ばかりでなく、あらゆる宗教に共通する信仰の姿ではないでしょうか。色々考えさせられた文章でした。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 美人コンテスト、まつ毛や眉毛はポイントになるのに、鼻毛や耳毛がならないのはなぜ? (K.L.)

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1806. どん底 [学校生活から]

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                            東日本大震災

 東日本大震災で被災した叔母から、年賀状代わりの電話が入りました。彼女は夫と家を失い、集合住宅に一人で住んでいます。「私も色々あったのよ。でも今が本当に幸せ。」としみじみ語っていました。どん底を味わったから見られる幸せがきっとあると感じました。一回どん底まで落ちれば、その後の人生は軽くなるだろうと分かっていても、誰もそこに落ちたいとは思いません。ここに「天災」の深い意味がある気がします。

 以前、超一流国立大学の大学院を出た先生が赴任してきました。人の悪口は言わず、頼まれた仕事はコツコツ真面目にこなす良い人でした。しかし自分自身を他人の前にさらす事を極端に嫌がり、授業は教科書と黒板を見て一方的にしゃべるだけでした。やがて生徒達から反感を買い、学校生活の全てがうまくいかなくなりました。年長で隣席の私が、「クラス通信を発行して、自分の高校時代の思い出話など書いてみたら?」と水を向けたのですが頑なに拒み続け、やがて教壇を去っていきました。水に飛び込まなければ水泳は覚えられないのに、水に飛び込めないのです。嫌な職務命令こそ人生飛躍のチャンスです。人は、むしろ自由にならない境遇から成長のきっかけを得ます。

 恥多き人生でしたが、私は最初の授業で私の人生を生徒達に紹介しています。その方がその後の指導が円滑に進むからです。そして生徒達にも、配偶者にはどん底経験者を薦めています。

** 高校生のコトバ ************************

川柳 : タピオカの はやりに乗って 後悔す  (Jung Rabbit)

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1802. わがまま対策 [学校生活から]

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                             職員会議 (フリー画像より)

 わがままな人への対応は難しいものです。昔職員室でこんな事がありました。

 3月になると、学校は新年度準備に入ります。教務部は新しい時間割を組みます。先生の持ち時間は教科会で相談し、結果を教務部に出します。40代の国立大を出た先生が言いました。「私の一週間の持ち時間を10~12時間にしてもらいたい。」冗談じゃありません。高校教員は一人当たり週16~18時間で配置されているので、それを認めれば誰かが負担過重になる事は目に見えています。しかし彼は譲らないのです。若造だった私は腹に据えかね、「先生、そんなわがまま言うもんじゃないですよ。」と年上の彼をたしなめました。すると彼は、「何だと~!勝手にしろッ!」と怒鳴って部屋を出ていきました。その後、彼には普通に16時間を割り当てました。

 新時間割は、4月の第1回職員会議で発表されます。されるやいなや、彼は大声で「私の要望はどうなったんでしょうか?」と尋ねてきました。私が「あの時、先生は『勝手にしろ』とおっしゃったと記憶していますが。」と返すと、顔を真っ赤にして「それは言葉の綾で…」と次の言葉が出ませんでした。以来私は、「わがままな相手には『勝手にしろ』という言葉を言わせたら勝ち」という高等戦術を身につけました。とは言え、それを使う事はその後二度とありませんでしたが。皆さんがこんな場面に遭遇する事の無い事をお祈りしますが、万一の場合はどうぞご参考に。

** 高校生のコトバ ***************************

名言 :  人気者は、人の事を悪く言わない人。 (ひまわり)

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1801. 平等 [学校生活から]

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                              平等 (フリー画像より)

 日本国憲法を読むと、「国民は」で始まる条文と「何人も」で始まる条文に分かれている事に気づきます。

 平等権を示す14条は、
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。」
ですが、職業選択の自由を示す22条は
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
となっています。

 一見、差別の禁止は日本国民の間だけのように見えます。しかし1978年の最高裁判決は、「憲法の基本的人権の保障は、我が国に在留する外国人にも及ぶ」としました。世界人権宣言の精神から言っても当然です。

 教室にも韓国籍や中国籍の生徒がいます。日本で生まれ、日本のマスコミや友人に囲まれ、幼小中と日本の学校で育ってきた彼女達には、自分と日本人の区別は全くありません。しかし将来の夢を語る時、彼女達の目は曇ります。日本の法律が壁を作っているからです。文科省は、在日外国人は「教諭」ではなく「常勤講師」として採用せよとの通達を出しています。優秀な成績で大学を出ても、小中高校の「教諭」にはなれないのです。差別の根絶をめざす学校で、教員の採用に差別がある事に大きな矛盾を感じます。

 本人の責任の無い所で悲しい思いをする人をなくすためにも、私は国内で生まれ育った永住在日外国人の権利はもっと拡大すべきと考えます。

** 高校生のコトバ ***************************

川柳 : 今の子は 本心隠すの うますぎる  (名無しの権兵衛)

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1799. チームプレー [学校生活から]

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                       日ハム引退会見の時の田中賢介選手

 「ミスをすると日本では『ドンマイ!』、欧米では『ナイス、トライ!』と認めてくれる。」
 これは日ハムの田中賢介投手の言葉です。これを教室の黒板に『今日の名言』として書いたところ、生徒達は「オー」と言って喜びました。

 「ドンマイ」も「ナイス、トライ」も失敗した相手をいたわる優しさから出ていますが、そこに「慰め」と「励まし」の違いを感じます。「ドンマイ!」には「気にするな、二度と同じ間違いをしなければいいさ」という第三者的な視点を感じますが、「ナイス、トライ!」の方は「その勢いで何度でも挑戦していけ」とその積極性を褒める身内意識が感じられます。

 失敗の種類にもよりますが、この姿勢の違いは、チームプレーのゲームの中ではとても大きな差を生み出します。「ナイス、トライ」と互いの失敗を肯定的に認めるチームであれば、選手は委縮せずにプレーできます。メンバーたった二人のテニスでも、互いに励まし合うペアは上位に昇っていきます。そんなペアは練習量をしっかりこなした固い信頼関係が築けています。

 3年生のクラスづくりも同じです。受験勉強は団体プレーです。互いの頑張りを認め合い、身内意識で励まし合えてこそ継続的な学習ができ、合格率も高まります。頑張る姿を確認する一助に、私は年度当初に一人一人が年間の目標(進学先ではなく、毎日の生活目標)を「公約発表」する事をお勧めしています。皆さんの進路目標の達成を祈っています。

** 高校生のコトバ ***************************

名言 : 気にくわない奴を排除し、歓喜したところでお前の内心は晴れない。 (M.Oi)

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1788. コミュニケーション [学校生活から]

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                心地良いコミュニケーション (フリー画像より)

 大学生の時、「一連の大学受験が終わるまで」という約束で一人の後輩が私の部屋に数日間居候しました。「いい奴」だったので、はじめは「遠慮するなって」と歓迎した私でしたが、やがて夜中の12時過ぎまでテレビを点けられたり、大きないびきをかかれたりする内に鬱陶しくなり、最後には「早く出て行ってくれ~」と思うようになりました。「いい奴」がずっと「いい奴」でい続けるには適当な距離が必要と痛感しました。

 今の勤務校は幼小中高が同じ敷地内にあるので、小さい子供達の姿をよく目にします。毎朝、園児は通園バスを降りると、全員で玄関前のマリア像に挨拶をしています。一斉に頭を下げる姿はヒヨコのようで、本当に可愛いものです。しかしよく観察すると、けんかっ早い子あり泣き虫ありと個人差は大きく、幼稚園の先生方も大変そうです。「当事者ではないから分かる事がある」が岡目八目の意味ですが、「分からないから幸いする事がある」とも言えそうです。

 孫のような高校生達と話をしていると、時々私には無い斬新な発想に出会う事があります。そんな時は本当に愉快で、自分がひと回り大きくなった気になります。この楽しい人間関係をこれからも続けたいので、私はあまりプライベートな事には踏み込まないようにしています。心地良いお付き合いは、8割程度のコミュニケーションで抑えるのが良いと学んだからです。

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名言 : 死ぬ気でやっても、人は死なない。 (前世水属性)

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1785. 表現欲求 [学校生活から]

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                   定禅寺ストリートジャズフェス(河北新報より)

 今年、私の勤務校にいらした美術のA先生は、ご自分も現役の画家として展覧会に出品しています。先生は、美術部や美術選択の生徒達の作品を校内あちこちに展示しています。美術室前はさながらミニ美術館のようです。作品はどれも上手なので、校内は『定禅寺ストリートジャズフェス』の日の仙台市中心部のように新鮮で明るくなりました。

 ジャズフェスの演奏者の皆さんは、演奏する事を楽しんでいます。教科書には載っていませんが、私は美術や音楽の表現欲求は食欲と同じように人間の生理的欲求の一つという気がしてなりません。小学生の頃、子供達の図工や書道の優秀作品は市の展示会に出されましたが、その他の作品は先生に評価してもらったらそのまま家に持ち帰っていました。A先生のように、多くの人々に見てもらう機会を増やす事こそ芸術の教師の仕事と感じます。

 そんな目で回りを見ると、文句をぶつぶつ言うのも、大声で笑うのも、さらにはおしとやかに振る舞うのも、全てその人の表現欲求から来る活動に見えてきました。みんな人とつながりたがっているようです。小鳥も小菊もみんな外へ外へと自分を表現しています。神様から頂いたものは、誰もがみんなに見てもらいたいんですね。

 マザーテレサの「私をお使いください」の祈りの一節を思い出します。

「主よ 今日1日 優しい言葉に飢えている人々と語り合うために
 私の声をお望みでしたら 今日 私のこの声をお使い下さい」

〇「私をお使いください」の歌
https://www.youtube.com/watch?v=W0_T9qojj_E

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川柳 : 夏休み 終わるとすぐに 正月だ   (は?)

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1777. 結婚 [学校生活から]

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                        イメージ「結婚」(フリー画像より)

 2年生の教室で前回のパートナーシップ制度の話をしていたら、予想外の反応がありました。
 「そんなにまでして、一緒に居たいかなあ。異性でも同性でも、一つ屋根の下にいつも二人でいたら気がめいりそう。」
 すると賛同意見が続々と出てきたのです。私の高校時代は、何とか恋人を得たいと思ったものでした。時代の差を感じます。

 1960年代は高度成長の真っ盛り。三種の神器(白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫)はほぼ普及し、3C(カラーテレビ・クーラー、自動車)にも手が届きそうでした。誰もが、将来は明るいサラリーマン家庭を築く夢を持てました。

 しかし今は、「一つの企業に十年間居続けられると思うな」という時代です。賃金は目減りするのに教育費は高騰し、将来は年金だけでは生活できないとも言われます。3組に1組が離婚といった話を聞かされれば、結婚などしたくなくもなる事でしょう。

 でも「こんな時だから結婚した方がいい」と私は思うのです。病気や貧乏の時には助け合えるし、悲しい出来事は慰め合えます。映画や絶景の感動は二人で味わう方が倍化します。そして何より子供の成長は二人共通の大きな喜びです。だから生徒達に言いました。「料理を作る時、一人分だけより喜んでもらえる人の事を考えながら作る方が楽しくないかい?」すると何人かがうなづいてくれました。

 生き方は人それぞれですが、自分と違う人と一緒になるからこそ成長できるというのも事実です。

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狂歌 : 妹が バイトの面接 行く前に 家族総出で 下見しに行く  (R.Y.)

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1769. 生徒指導 [学校生活から]

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       真剣に話を聞く生徒 (本文とは関係ありません。フリー画像より)

 福岡県の中学校のサッカー部の生徒が、眉毛の下部が剃られている事を理由に中体連の地区大会に出場できませんでした。剃ったのは父親。本人が眉の太さにコンプレックスを感じていたためでした。

 中学校の校長は、「本校だけではない」と言い、「眉をそった生徒が試合に出たら、相手側から『怖い』という声が出たためと聞いた」と話しています。生徒の立場を無視した力関係だけの指導では、生徒は納得しません。

 かつて私が生徒指導部にいた時、A君が派手な金髪姿で登校しました。服装検査で直すよう指導されましたが、一週間経っても直しません。担任の先生の指導に乗らないので、私が指導する事になりました。

 その前夜、私は明日の指導は対等の立場で勝負しようと決めました。翌日、彼は指導室にスリッパをスパタン、スバタンと響かせながら入って来ました。私は彼を座らせ、演技力をフル動員して話しました。
 「もったいないなぁ、A。そんな風に突っ張ってたら、せっかくのお前の一本気な性格も誤解されるぞ。いいのか、それで?」
 彼は少しのけぞり、しばし沈黙した後「分かった」と答えて部屋を出ました。翌日、彼の髪は真っ黒になっていました。

 生徒指導には、まず相手の人格を認める事が必要です。基本は「あなたらしくない」です。そして他校や他人を持ち出しません。皆さんが親や指導者となって指導する時も、1回相手の立場に立ってから指導してみて下さい。今回は自慢話のようになってしまい、申し訳ない。

〇この校則指導のニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/4fa9b65cd18537abb48b4d0ce9f84b9e80e39378

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川柳 :  がんばります! 力入れすぎ 空回り  (610)

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1767. 体罰 [学校生活から]

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              スパルタ教育 (フリー画像より)

 先日のブログに載せた勤務校の剣道部ですが、8日に開かれた仙台市中学校剣道大会では、全校生の期待に応えて、女子の団体戦と個人戦の両方で優勝してきました。個人戦では2年生の双子の部員が決勝戦で戦うという椿事まで起きました。

 学校の中で、部員達は規律正しい生活を送っています。プライドが与える力を感じます。そんな彼女達を育てている顧問の先生は、決して体罰をしません。しなくても心を伝える術を身に着けているのです。

 昨日の朝日新聞に体罰についての記事がありました。大阪市で体罰を受けたバスケットボール部員が自殺して10年経つにもかかわらず、教職員が処分された体罰は20年度に485件ありました。スポーツ庁は表面化しない事例はまだあると見ています。

 学校スポーツは、「チャレンジする事」や「継続する事」、「フェアプレーの精神で仲間を尊重し、助け合う事」、「自分の責任を果たす事」を『体験』を通して身につけさせ、生徒の健全な育成を目指します。この目的に目をつぶり勝利のみを目指す指導は、いわば競走馬の調教に他なりません。うがった見方をすれば、それは指導者の功名心から来るエゴです。

 日体大では、部活動事故の遺族の話を聞く研修会を開いて教師を目指す学生に体罰の悲惨さを実感させています。子供の命は何よりも大切です。命を大切にしつつ、どんな子供にも成功体験の喜びを与えられるような大人になりたいものですね。

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川柳 :  テスト期間 机の上が 大災害  (あ)

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1752. 大凶 [学校生活から]

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               おみくじ (フリー画像より)

 私は、学生時代に東京の高幡不動尊で「大凶」のおみくじを引いています。(No.105) アルバイトでトラックの運転手をしていたので交通事故が頭に浮かび、散々な初詣となりました。しかしお陰様でその年は安全運転に徹し、何事もなく済みました。

 先日、職員室で今年採用された62歳の先生と話す機会がありました。彼も若い頃、鎌倉の鶴岡八幡宮で「大凶」のおみくじを引いて真っ青になったそうです。すぐに宮司さんの所に行き、どうすべきか尋ねたところ、
「何万の中のたった一枚を引き当てたんだから、むしろ喜ばしい事ですよ。」
と慰められました。

 彼は中学校の先生となり、タイの日本人学校の教員も数年間勤め、その後老いた両親の面倒をみるために郷里の宮城県に戻って私学の高校の教員になりました。私達二人、どちらも「大凶」という程ひどい人生ではありませんでした。

 おみくじは良い方から「大吉・中吉・小吉・吉・末吉・凶・大凶」とありますが、最近「大吉」は喜ばれない傾向にあるそうです。引いた今をピークととらえる事から、この先は下がる一方と感じるからです。この感覚に従えば、「大凶」は今がどん底なので今後の人生は上向きになるはずとも言えそうです。

 吉凶いずれにしても、私は深遠な神の言葉を人間が限界ある知恵で読み解けるとは思えません。したがって大事な時ほど、影響を受けないようおみくじは引かない方がいいと考えます。

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川柳 : 夏休み 今すぐ宿題 燃やしたい (眠)

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1748. 老境 [学校生活から]

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               老夫婦 (フリー画像より)

『老年は山登りに似ている。登れば登るほど息切れするが、視野はますます広くなる。(イングマール=ベルイマン)』

 この「今日の名言」を黒板に書いていたら、生徒に聞かれました。
「歳を取っていくってどんな感じ?」
「ドギマギする事が少なくなって、毎日が穏やかになるよ。」
「つまんなくない?」
「全然、全然。熱烈な恋はできなくなったけど、多くの男女を可愛いと思えるようになって、むしろ幸せだよ。」これ、本音です。

 やくざ映画やサスペンスドラマで、悪党の一人が組織を裏切って堅気の世界に戻ると、そのほとんどはラストシーンで悪党仲間に殺されます。歳をとってくると薄っぺらなドラマは結末まで見えてしまいます。同様にフライトアテンダントの口角だけを上げる営業スマイルやテレビショッピング出演者のヒステリックな笑顔はすぐにニセモノと感じてしまいます。新鮮で心地良いのはドキュメンタリー番組であり、子供達や生徒達の正直な表情です。国外飛行機や海外のホテルの係員は笑顔を振りまきませんが、それはそれで事務的な心地良さを覚えます。

 久しぶりに息子一家に会ったら、孫が大きくなっただけでなく息子夫婦も一段と大きく見えました。アレッと思ったら,自分が縮んでいる事に気づきました。身長は50代の頃より3cm低くなってます。皆がたくましくも見えてきます。歳をとるってこんな感じです。

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川柳:フローラル 充満している 体育後 (非王道学園推奨)

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1666. 離任式 [学校生活から]

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              離任式 (フリー画像より)

 昨日、勤務校で終業式と離任式がありました。私は校長先生から留まるよう告げられたので、残留組となりました。71歳、嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑な気持ちです。私が教職員の中で最年長となりました。しかしせっかく頂戴した機会ですから、この一年悔いの残らないようがんばるつもりです。

 私はこれまで40回以上離任式を経験してきました。この式典では悲喜こもごも先生方の様々な思いが現れます。ある先生は宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を朗々と吟唱し、そのまま頭を下げて挨拶としました。また別な先生は、指導し切れなかった自分のクラスの生徒に向けて、「お前ら覚えておけよーッ!」と捨てゼリフを吐いて壇を下りました。どちらも強烈な印象を私の記憶に残しました。どんな職場にあっても、最後の言葉は大事にそして丁寧に発すべきと感じました。

 公立に採用された若い講師の先生を除けば、転勤のない私立学校で退任される多くの先生方は教職を去られます。体調不良を理由に自分から身を引く方もいれば、学校側の都合で去らなければならない方もいます。いずれにしても、一年以上同じ部屋で過ごした仲間との分かれは、寂しいものです。先生方や生徒達への対応は、『一期一会』の心構えで手を抜かずにやり遂げねばと強く感じました。

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名言 :  人生、楽が多いか苦が多いか、それはその人次第だ。  (T.I.)

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1654. 卒業式 [学校生活から]

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                           今から20年前の卒業式

 今日は卒業式でした。コロナのせいで、生徒の呼名なし、校歌斉唱なしの少々寂しい式でしたが、内容は例年通り厳かなものでした。

 卒業式では、毎年新しい発見があります。震災後のある年、家の全てを失い、苦しい生活の中3年間通い続けた生徒が両親へ述べた心からの感謝と将来への決意の言葉には、参加者全員涙をこぼしました。別の年には、保護者代表の格調の高い謝辞に、私達職員室に戻ってもしばし言葉が出ませんでした。

 今日は、送辞を読む在校生が嗚咽で言葉に詰まる場面を久しぶりに見ました。答辞を読む卒業生には時々見られる事ですが、在校生はまれです。内容も、「素晴らしい先輩方を誇りとし、いつまでもその姿を追い続けます」と胸に突き刺さるものでした。

 私の高校時代、2年上の先輩は無条件に大人に見えましたが、1年上はさほどでもありませんでした。男子校と女子校の差かもしれませんが、女子は一年の差でも大きな憧れを抱くようです。

 卒業式の日は、先生が評価される日でもあります。式終了後のホームルームが終わると、生徒達がクモの子を散らす(?)ように消えた学年がありました。今年の卒業生は、職員室前の廊下が先生方にサインを求める生徒達で大混雑する程の懐(なつ)きようでした。三学年の先生方の上手な指導が証明されました。この指導を先生方全員が振り返り、来年度に生かすよう、老非常勤講師の私は教務主任に提案したいと思っています。

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名言 : 誰だって嘘をつかれれば腹が立つが、本当のことを言われればもっと腹が立つ。 (H.K.) 

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1644. 人生 [学校生活から]

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             将来の夢 (フリー画像より))

 高校3年生の授業で、
「私は君達の4倍生きてるんだよね。」
と言ったとたん、
「ひぇ~」
という声が上がりました。常日頃
「私は朝鮮戦争の起きた1950年生まれ」
と話しているので、彼女達は私を高齢者と思ってはいたはずです。しかし自分の人生の長さと比較したとたん、仙人を見るような目になりました。その時私は、そんな彼女達にブッダの「変化を楽しむ境地」や荘子の「価値づけをしない世界」など説明しても、理解してもらえないと悟りました。理解するためのデータが不足してるからです。

 夢を抱いて社会に出て行く皆さんは、やがて現実の不条理に出会って面くらう事でしょう。もがき苦しむかもしれません。しかしそれが皆さんを隣人の辛さに共感できる優しい人柄に成長させてくれるのです。そして結婚、子育て、住宅ローン返済、病気といった慌ただしい日々が続きます。何回かの危機を乗り越え、ふと気づくと定年まであと数年、これが人生です。

 しかしここまで来ると、私達は「因果応報」や「天網恢恢疎にして漏らさず」といった先人の警句を実感できるようになります。そして生きてる自分が実にラッキーな存在だと気づきます。高校生に足りないのがこの「実感」なのです。人生、真剣にもがいた人ほど後半の幸福度は高いようです。だから言いました。
「今は理解できなくても、将来共感できる日のために、この授業内容は頭の片隅に置いといてね。」と。


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爪をきれいな形にしようと思いながら切ると、必ず深爪になる。(P)

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1633. のびのび教育 [学校生活から]

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                         世田谷区立桜丘中学校

 東京都の世田谷区立桜丘中学校には、2010年に赴任した西郷孝彦校長先生が考えた10個の「ない」と3つの「生徒心得」があります。

10個の「ない」
 1.校則がない
 2.授業開始と終了のチャイムがない
 3.中間や期末などの定期テストがない
 4.宿題がない
 5.服装・髪型の自由
 6.スマホ・タブレットの持ち込み自由
 7.登校時間の自由
 8.授業中に廊下で学習する自由
 9.授業中に寝る自由
 10.授業を「つまらない」と批判する自由

3つの「生徒心得」
 「礼儀を大切にする」
 「出会いを大切にする」
 「自分を大切にする」

 古希を過ぎた私は、これで職場や夫婦関係を円満にこなせる人間ができるのだろうかと少々心配になるのですが、今のところ好評なようです。

 私は、「人生、嫌でもやらなければならない事が必ずあるのだから、我慢する場面も作ってあげた方がよい」と考える人間です。教育は人の一生を左右する薬のようなものなので、効果や副作用が出るには時間がかかります。慎重に進めねばなりません。

 とは言え、強い信念で自分の理想を実現しようとする西郷校長先生の勇気は心から尊敬します。評価はやがて子供達がしてくれる事でしょう。時代も変わっていきますしね。

世田谷区立桜丘中学校の記事
https://hugkum.sho.jp/100824

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名言 : 素晴らしいパートナーというのは、不満のない相手ではなく、不満を伝えられる相手。 (ツボ探し)

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1632. 自信 [学校生活から]

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       今年、不幸にして傷害事件が起きてしまった共通テスト会場

 このブログを見てくれている皆さんはお気づきと思いますが、今月の私の更新日は全く不規則です。実は今月の更新日は偶数日なのですが、昨年の12月から3年生2名の希望で夜8時からZoomで課外講習を始めたのです。そのため、何回か当日中の仕上がりに間に合わなかったのです。

 2人は昨年6月から放課後課外を始めました。一通り復習した後、センター試験の過去問21回分を解きました。それまでの20回を超える新記録です。今年に入ってからは間違った箇所だけを再度解き直し、先週の木曜日に終わりました。普段はあまり笑顔を見せない1人の生徒が、初めてすがすがしい笑顔を見せてくれました。「あさっては、この新記録を自信に安心して頑張れ!」と「腕タッチ」しました。私に俳句の才能があれば、あの笑顔でかなり良い句が作れた気がします。

 テストでは、銀行のバランスシートやアジア通貨危機といったディープな所からの出題がありました。おそらく来年は石油危機やプラザ合意が再び出てくると思います。明日の学校での自己採点で、彼女がとんな点数を私に持って来るか楽しみです。現2年生の皆さん、共通テストの準備はできるだけ早い時期から取りかかって下さい。その意気込みが必ずや好成績をもたらしますから。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 夏休み 起きた時には お昼過ぎ   (りんご)

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