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1197. 写実画 [雑感・気づき]

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     五味文彦先生の油絵「あかいはな」 (五味先生のご好意による掲載です。)

 二年前に行った千葉市のホキ美術館(No.802)から、岩手県立美術館での展示会の案内状が来たので、見てきました。神業としか思えない極限の写実画が64点展示されていました。

 上の五味先生の作品は、水とバラの花が入った三つのグラスとガラス製の水差しが白いテーブルクロスの上に置かれた絵です。まず驚いたのは、これらグラスの口です。円形ならコンパスで下書きも可能ですが、全部楕円です。それでいて歪みも線の太い細いもなく、油絵なのに筆のタッチが全く見えません。グラデーションの部分はまるでスプレーでもつかったかのようです。

 美術館の学芸員によると、五味先生は池の底に沈んでいる枯れ葉を描く時、一回底に全ての葉を描き、その上に水の色と水面の反射の色を重ねていくそうです。きっとこの絵にも、これだけの透明感を出すための様々なテクニックが使われている事と思います。

 写実画が写真よりずっと現実感を持つのは、画家が注ぎ込んだ気の遠くなるような根気を、鑑賞者が作品から無意識の内に感じ取るからではないでしょうか。例えば別の画家でしたが、毛や毛玉の一つ一つを虫眼鏡でも使わなければ描けないような細かいタッチでびっしり描き込んだ毛布の絵からは、そのフワフワとした温かい質感がしっかり伝わってきました。皆さんも、是非本物の持つ迫力を美術館で味わってみて下さい。

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川柳 : 泣いたのは 自分の甘さに 悔しくて (pino)

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1196. プラスとマイナス [ニュースより]

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                                   年金、もらう人と支える人

 今朝の新聞各紙のトップ記事です。
「年金水準 見通し改善せず」(朝日新聞)
「年金水準 2割減」(毎日新聞)
「年金30年後 2割目減り」(河北新報)
 こんな悲観的な見出しが並ぶ中、読売新聞は
「年金 現役収入の5割維持」
と、明るく書いていました。

 日本は「表現・出版の自由」のある国なので、放送と違って新聞はどんな書き方でもできます。それにしても事実は一つなのに、どうしてこんなに評価が割れるのしょうか。

 事実はこうです。今、65歳の退職したての夫婦がもらう年金は、月額22万円。これは現役サラリーマンの平均給料35.7万円のの61.7%です。ところが2047年には、年金月額は24万円に微増しますが、サラリーマンの給料も47万円に増えるので、その比率は50.8%に下がります。「60%から50%に2割も下がる」とマイナスに評価する3紙に対し、政府・自民党系の読売新聞は「法律で定められた50%を下回らずにすんだ」とプラスに評価しているのです。

 どちらにしても年金は下がります。しかし皆さん、これ以上の良い貯蓄は他にありません。皆さんには年金の他にももう一つ投資先が必要です。私のお薦めは、自分自身への投資です。ピアノ、編み物、お花、英会話…、老後のためにも、人に教えられる技術を一つ身につけていきましょう。

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名言 : 他人に話を聞かせたがる人ほど、他人の話を聞かない。 (マクロス)

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1195. 機微と楽しみ [宗教的感覚]

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                     京都大学哲学科教授 西田幾多郎氏

 道元禅師は、坐禅とは「精神を鍛えるため」といった目的達成のための手段ではない、と説いています。したがって「悟りを得るため」に坐禅をするというのは、そもそも間違っているそうです。凡夫の私は、それなら座る事の中に「何か楽しさを見つけよう」という気持ちで、昨日の坐禅会は座ってみました。

 最初に感じたのはミンミンというミンミンゼミの声。かすかにヒグラシゼミ。道路を走るトラック。突然降ってきたパラパラという雨音。びっくりしたかのように静まる蝉達。聴覚だけでもこれだけ楽しめると気づきました。

 目は半眼ですが、目の前の板の節目しか見えないので、他の感覚が鋭くなっています。お線香の香りとかすかな雨上がりの匂い、流れ込む涼しい風。坐骨と両膝の作る三角形の重心上で、骨盤と背骨が微妙に動きながら調整をとる感覚。内部感覚をこんなにじっくり味わう事は、日常ありえません。これが坐禅の奥深さか、と気づいたのです。

 ところが終了後に和尚様から学んだ呼吸のお話はさらに深いものでした。呼吸は横隔膜の上下に伴う全身の緊張と弛緩の二層の感覚を生みますが、個々の呼吸は様々な条件によって絶えず微妙に変化しています。「同じ息とは二度と会えない」とおっしゃいます。それを楽しんだのが西田幾多郎氏でした。こんな微妙な境地を楽しめたら、人生楽しい事ばかりでしょうね。

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名言 : 一瞬の歓び、それもまた幸せである。  (健己)

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1194. 信頼感と緊張感 [地歴公民科]

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                      ソウルの戦争記念館の屋外展示。(全て実物です。)

 1963年のキング牧師の有名な演説の一節です。

 「私には夢がある。いつの日か、 ジョージア州の赤土の丘で、 かつての奴隷の息子達とかつての奴隷所有者の息子達が、 兄弟として同じテーブルにつく夢が。」※

 以前にも取り上げましたが(No.260)、彼は、尊敬するガンジーの「非暴力・不服従」の抵抗姿勢を米国の黒人差別撤廃運動の中で貫き、とうとう1964年に黒人の公民権を勝ち取りました。

 1776年の米国の独立宣言には、「全ての人は平等に造られ…」とあります。しかし残念ながら、この「人」の中には黒人や女性、先住民は含まれておらず、白人男性のみが「人」でした。当時の黒人達がどれ程のひどい仕打ちを受けたかは想像に難くありません。しかしキング牧師は恨み言を言いません。平和共存でいこうと呼びかけています。

 韓国の戦争記念館には、対豊臣秀吉の防衛戦争や近代の朝鮮戦争など、これまでの戦争の資料や実物が数多く展示されています。この「過去を忘れるな。油断するな。」という姿勢には、北朝鮮との朝鮮戦争がまだ終結していない韓国の緊張感がピリピリ伝わってきます。この韓国の姿勢と、日本やキング牧師の「過去の事は水に流して」という人間信頼の姿勢は、そう簡単には融合できないだろうと感じます。人間同士の信頼感の醸成は、平和な環境があってこそできる事なんですね。

※I have a dream that one day on the red hills of Georgia the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.

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名言 : 「愛と勇気だけが友達さ~」 アンパンマンには友達がいない。  (時雨蒼牙)

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1193. 愛の存在証明 [宗教的感覚]

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                           善きサマリア人 (ゴッホ作)

  勤務校ですばらしい教員研修会がありました。講師はギターを手にした東京の関谷義樹神父。お話は実に分かりやすい人生哲学でした。

 まずは「人間の本質は愛である事」の証明です。
神父はこれをキリスト教的な三段論法によって明快に答えられました。
 ①第一命題:神は人を自分に似せて創った。(創世記1-27)
 ②第二命題:神は愛である。        (ヨハネによる福音書4-16)
 ③結論  :ゆえに人間の本質は愛である。
神の似姿として創造された私達には、神の愛も当然分有されているとの論理です。

 キリスト教を信じない人には、この証明は意味を成しませんが、続けてされた次の話には誰もが賛同するのではないでしょうか。

 愛は「見て、近づいて、共感して、与える」もの。(ルカによる福音書10-29「善きサマリア人」) 先生方は生徒と「共にいる事」を楽しんでいるだろうか?自分の小さな犠牲を受け容れ、生徒のために尽くせ。キリスト教の中にはパラドックスがいくつかあるが、自分が小さくなって誰かに尽くす時、そこに「永遠の命」があるというのもその一つ。もっと生徒達の中に入るべし。

 翌日の全校集会で、校長先生は早速このお話を実行に移され、なんと最初の挨拶はステージからフロアに降りて生徒達の中に入って行いました。生徒達の顔が一斉に明るく輝きました。

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川柳 : 買う気なし けれど手が出る 限定品   (mp3)

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1192. 片づけ [教育の話題]

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                        協力し合って「お片づけ」。

 先日、二日間かけて我が家の一部を防音壁にする工事を行いました。担当の大工さんは、お盆前のあの猛暑の中、したたる汗をぬぐいぬぐい一人黙々と作業を進めていました。針の穴のような小さな隙間にも一つずつパテを埋めていく姿に感動したのですが、驚いたのは一日目の工事を終えた時の事です。明日も再び同じ場所で同じ作業をするのですが、彼は日中敷いていた養生用の厚手の布を剥がしてたたみ、その布で壁からはずしたエアコンを丁寧にくるんで部屋の隅に置いて帰りました。部屋もきれいに掃き清めて。

 翌日も彼は最後の片づけまで全く同じペースで仕事を進め、その姿はまるで坐禅の修行をするお坊さんのようでした。これまで私は、「仕事は楽しんでするもの」と考えてきましたが、彼を見ていたら、それ以上に「人は仕事を通して信頼を得る」という事を実感しました。

 ある本の中で、幼稚園の園長先生が語っていました。「私達は、お片づけを重視しています。」「お片づけは早くすればいいというものではありません。次に使う事を考え、順序よく協力してすべきものなのです。」自分の授業の短所を指摘された気がしました。チャイムが鳴ったから終わるのではなく、次の授業で花開く「種」を計画的に播いておくべきなんですよね。異業種の方の仕事ぶりから、自分の反省点が次々と見えてきました。

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川柳 : あの笑顔 私にだけの 宝物   (Love)

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1191. 真実 [地歴公民科]

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                                    二・二六事件の反乱軍兵士たち

 考えさせられた良い作品でした。80年ぶりに見つかった海軍の極秘資料を基に作成された、NHKの「全貌 二・二六事件」を見た感想です。

 二・二六事件は1936年2月、陸軍の皇道派の将校ら1400名が、内大臣齋藤実、蔵相高橋是清、陸軍教育総監渡辺錠太郎らを殺害し、天皇中心の国家を建設しようと起こしたクーデターです。始めは承認するかのように振るまった陸軍上層部でしたが、海軍と天皇が皇道派を支持しないと見るや鎮圧の姿勢に転じ、彼らを降伏させました。組織防衛のためか、首謀者17名は秘密裁判の下に死刑に処されています。

 この後陸軍は「反乱軍を鎮圧した」手柄を盾に天皇を利用し、一気に太平洋戦争に突き進みました。

 ここまで詳しい情報を海軍が知り得たのは、海軍がかなり前から皇道派の不穏な動きを察知し、陸軍内部や建物の屋上など様々な所にスパイを放って報告させていたからです。ではなぜそんな機密文書が80年間も表に出なかったのか?これについて番組は、驚くべき事実を突きつけました。

 実は、海軍は事件の一週間前にすでに計画の全貌を知っていたというのです。資料には被害者と殺害者全員の名前が書かれてありました。組織防衛のため、海軍も又自らに都合の悪い事実は隠し通そうとしたのです。様々な現象の裏にある「真実」を知る事の難しさを改めて考えさせられました。

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名言 : 動揺して自分を見失ったのではない。その時初めて本当の自分に直面したのだ。 (キャラメル)

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1190. カラオケ [雑感・気づき]

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                こんな部屋もあるそうです。(カラオケ「キャッツアイ」の宣伝より)

 このブログを始めた2013年に生まれた孫が、今日満6歳の誕生日を迎えました。遅々として成長しない私のブログなどをはるかに超えるスピードで、孫は成長しています。

 息子から誕生パーティをカラオケでやると案内があり、「時代も変わったもんだ」と出向きましたが、何と通された部屋には小さなすべり台や色々な玩具がセットされてあり、今やここは子連れママ達の憩いの場として定着している事を知りました。部屋には大きなディスプレイと立派な音響装置があり、孫達はシンカリオンやアンパンマンなどのアニメソングを大声で歌っていました。

 近くに鏡張りの部屋があり、そこの廊下にはバレーや日舞、ヨガ、ピアノなどの教養講座のポスターが貼られてありました。近くそれらの合同発表会も開かれるそうです。今やカラオケは飲み会の二次会用ではないんですね。世間の変化は目まぐるしく、私はまるで浦島太郎状態でした。

 ここの防音環境を利用して書道教室も開かれていると聞き、カラオケ店の将来を想像してみました。
○ペット連れも可となり、ペット同伴の老人達の交流の場となる。
○食事をとりながら最新の映画を楽しめるプライベート映画館。
○登校できない生徒達のパーソナル学習教室。
 夢はまだまだ広がりそうです。色々な成長を感じた楽しい一日でした。

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名言 : コンビニに知り合いが働いていると、普段買ってるものも買えなくなる。 (もの消し)

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1189. 情報の吟味 [地歴公民科]

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                                           パーセントバルーン

 ネプチューンの番組「ネプリーグ」の中に、パーセントバルーンというコーナーがあります。百個のバルーンで吊り上げられた「かご」の中の五人の回答者が、「正解は何%か」を当てるクイズです。回答者の答えが正解と違った場合、その差の分だけバルーンが割れ、下手をすると「かご」ごと全員墜落するというものです。

 これを見た事のある人は、「本当かい?」と突っ込みたくなった事ありませんか?「朝シャンをする人の割合は?」とか「納豆にカラシを入れる人の割合は?」など、データ不足で真偽の確認のしようがありません。製作者は数字の出所を明示すべきです。私は、この事をフジテレビに投書しました。さて、どうなるでしょうか?

 一方「テレビ局のスタッフが調査したものだから」とすんなり信じる視聴者側にも、ついつい一昔前の「大本営発表だから」や「教会が言ってるのだから」に通じる、思考停止の姿勢を感じてしまいます。

 少々アツくなってしまい申し訳ない。複雑な情報化社会を生きる高校生の皆さんは、五感を研ぎ澄まして情報を吟味し、冷静に結論を出せるようにして下さい。さもないと、進研模試で大学を決められ、アマゾンの広告で購買意欲を高められ、AIに就職先や結婚相手を斡旋してもらうような情けない人生になりかねません。

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狂歌 : 宿題は 朝のうちに 目を通し 休み時間に やるものなのです  (いち100)

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1188. 素直さ [教育の話題]

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                          「横断歩道は手を挙げて」

 今日は、母と私達夫婦と息子一家でお墓参りに行く予定でした。ところが、息子のお嫁さんと2歳の孫が風邪をひいたため、5歳の孫だけが私達と行く事になりました。

 ママから「ひいばあちゃんに風邪をうつすといけないから、車の中ではマスクをつけていなさい」と言われた彼は、暑いにもかかわらず律義にマスクをつけていました。お墓の前でははずしたものの、車に戻るとまたつけます。母を自宅に送り届け、車中に彼女がいなくなってもしっかりつけています。「偉いなぁ」と誉めて上げました。

 彼は、横断歩道を渡る時もしっかり手を挙げます。頼まれれば、口を大きく開けてアニメソングも歌います。この素直さは、まさに天使です。しかし、もし彼がこのまま高校生になったら…と考えると、これはかなり不気味です。高校生は、ホリングワースの言う「心理的離乳」を経て、状況に応じて自分の判断で動けるようになっているはずだからです。こんな彼も、きっとその時期が来たら息子夫婦と大なり小なりモメる事でしょうね。

 でも皆さん、自分の「良心の声」にだけは素直に従った方がいいですよ。私はこれを、ストア派のゼノンの言う「宇宙理性」(全てを調和させる法則) からの警告と感じてます。経験的に、ここを拠り所にして生きる時、行く手を阻む敵は自滅していきましたから。

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川柳 : いつまでも 待っていられぬ 遅刻バス   (No.9)

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1187. 最前列 [雑感・気づき]

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                                 ご焼香

 本日、お盆の法要でお寺に行きました。11時開始なので、私は10時45分に本堂に駆け込みました。前方は空いてましたが、後ろのイイ席はびっしりです。なんとか空席を確保したのですが、ふと「こんな時ぐらい親孝行しなきゃ」という気になり、改めてガラガラに空いている最前列の真ん中に座りました。

 一通り読経が済んだ頃、若いお坊さんが私達一般参列者に言いました。「ただ今よりご焼香となります。総代様より始めて、ご参列の皆様の焼香をお願い致します。」 ん?皆さんの視線が私に向いています。後から分かったのですが、今日は総代代表の方は欠席でした。何ともはや、あせりました。

 すると近くに座っていたご老人がゆっくり立ち上がり、ご焼香されました。おかげで、私達も彼に続いて焼香できました。その老人が総代の一人なのか、私が焦っているのを察して立ち上がってくれた人なのか分かりませんが、本当に助かりました。格式ある式典では、不用意に一番前に座るべきではないと勉強しました。

 でも、でも高校生の皆さん、座席自由の授業や講義の時は、少々緊張気味の前の席の方が絶対に内容は身につきますからね。今回の私の例は授業では参考にしないで下さい。

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名言 : 「よし、じゃあ今から本気出す!」と言う前が、1番本気。  (hamaguchi)

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1186. ひとくくり [ニュースより]

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                    壮絶なイジメに遭った事を発表した長男の昔の姿。

 21年前の和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚の長男の方(31歳)が、「もう逃げない」という本を出版しました。そしてツイッターで世間の人々の意見を聞き、自分の気持ちも発信しようとしています。

 母親が逮捕され、死刑判決を受けてからの彼の生活は一変しました。児童施設に預けられ、仲間のみならず職員からも壮絶ないじめを受け、17歳の頃は逃げ出しては捕まって戻されるの連続でした。友人は去り、職場は追われ、自宅は放火され、婚約も破棄されました。自分の運命を変えた母を恨む一方で、「無実」との母の言葉を信じたい気持ちもあり、それらが交錯する日々を過ごしています。私は、悲しむ人を増やす死刑は執行すべきでないと思っています。(No.178)

 親と子供は別人格なのに、世間は林眞須美家と「ひとくくり」にして差別します。私はこの構図を、今の日韓関係にも見てしまいます。韓国は一人の人間ではありません。多くの人々が住んでいる地域名です。韓国の文在寅政権と日本の安倍政権との確執で、政治のみならず経済や文化、スポーツ、教育等広い分野で、今交流が閉ざされようとしています。せっかくここまで関係が改善した両国民です。市民レベルの交流は継続し、両国を再び円満な関係に戻していこうではありませんか。

○長男のツィッター「カレー事件 長男」
https://twitter.com/wakayamacurry?lang=ja

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名言 : そんな高い金出して顔を変えるより、タダで性格変えた方がお得だよ…。  (9月18日)

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1185. 恩師の話 [教育の話題]

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                         80年代の荒れた教室 (金八先生より)

 久しぶりに、中学時代の恩師のお宅にお伺いしました。今85歳の先生は、昔生徒指導の腕を買われて荒れた中学校に配属されました。中三生の4分の3は、コーラで脱色した茶髪でした。授業妨害や暴走行為などで指導を受ける生徒達の多くは、小学生の頃から家では親に「お前はバカだ」と言われ、学校では「遠足には来るな」と言われ、心安らぐ居場所がありませんでした。

 先生が「お前達、何が一番やりたい?」と聞くと、「温泉に入りたい」と言います。そこで先生方にお願いして6台の車に分乗させ、栗駒の温泉に連れていきました。やがて「英数国の勉強を教えて欲しい」と言う生徒が出てきて、熱意のある先生方に手伝ってもらい、放課後に分数計算から教え始めました。その後潮干狩りにも行き、卒業式では先生も生徒達も涙が止まらなかったそうです。「あの子達は、本当は純粋なのさ」と話す先生は、涙をこらえていらっしゃいました。今も先生と彼らとの交流は続いているそうです。

 今これを言うと叱られますが、教職は「定時退庁」を理想とする人には辛い職場です。生徒指導や考査の採点など、どうしてもサービス残業がついて回ります。労使関係というより親子関係に近いのです。それでも是非やりたいと言ってくれる人、私達は待ってます。

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狂歌 : 怒鳴り声 家の居間から 聞こえれば 自分の部屋から 出るに出られず (M.S.)

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1184. 愛 [地歴公民科]

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                            アーネスト=ヘミングウェイ

「二人が愛し合っていれば、ハッピーエンドはありえない。」(ヘミングウェイ)

 仏教の「愛別離苦」 (誰かを愛する事は、別れという「苦しみ」の種を背負う事である。) を思い出します。私はこの種の箴言が大好きなのですが、今回のこの考え方には反対です。愛とはそんなに単純で薄っぺらいものではない、と思うからです。今回は、愛とハッピーエンドについて考えてみます。

 愛は、それを失う「苦しみ」の百倍以上の「楽しみ」を与えてくれます。また夫婦の愛とは言っても、どんどん変化します。我が家の夫婦間の愛も、三人の子供達とその伴侶、そして孫達へと、薄まる事なく広がっています。そんな家族を作ってくれた妻には、感謝の一言です。愛する人との別れは確かに辛い事ですが、振り返れば、一定期間楽しませてくれた運命には感謝しなければなりません。

 人生のハッピーエンドとは、二人が永遠に結ばれる事ではなく、別れの時にそれぞれが感謝の気持ちに浸れる事なのではないでしょうか。皆さんは、是非愛し合える人を見つけて下さい。

 ちなみにヘミングウェイは離婚・再婚を繰り返し、4人の妻をめとりましたが、自殺しました。決してハッピーエンドには見えない彼の最期を思うと、この言葉から別な意味が見えてきませんか? 彼は最後の妻だけは本当に愛していた、と。


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川柳 :友達に 小遣い聞かれ みえを張る  (S.S.)

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1183. 安定 [宗教的感覚]

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                                  釈徹宗氏

 カーラジオから、本仮屋ユイカというキャスターが浄土真宗の釈徹宗というお坊さんと対談する番組が流れていました。「悪口」や「怒り」にどう対処するかという事が、話題になりました。

 「悪口」については、「あのブッダにでさえ悪口を言う人がいるのですから、悪口を言われないように生きようとする事自体無理なのです。さらりと聞き流す生き方が一番です。」「怒り」については、「相手の言動であなたが怒る事は、相手の思うつぼにはまる事です。平常心でニコニコしているのが一番の対抗策なのです。」

 本仮屋さんが、「すぐイラッとしたりホッとしたりする自分は、どうやったら安定した毎日が送れるでしょうか?」と相談すると、「安定には、ガッチリと動かない固定した安定の他に、ある程度の動きのゾーン内での安定があります。この後の方の動的な安定の方が実は強いのです。」

 確かに、自転車に乗る時も手のひらにほうきを逆さに立てる時も、手を小刻みに動かす事が肝要です。起こる感情は止めようがありませんが、その感情をしっかり見つめ、それに流されなければいいんですよね。これが仏教的人生観と理解しました。悟りを一人占めせず、それを瞬時にしかも具体的に解説できる釈氏の力量に感動しました。

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名言 : 二度の失敗「三度目の正直」と念じるが、結局「二度あることは三度ある」である。 (ピカ子)

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