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1955. 満点 [学校生活から]

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           ジローラモ氏 (ジローラモ氏のH.P.より)


 女子生徒達が、
「一緒に歩くのはいいけど…」
などと楽しそうに話しているので、
「誰の事?」
と聞くと、岡田准一を渋くしたような50代独身のイケメン先生の事でした。

 彼は寡黙でじっくり考え抜いてから発言し、言い間違いや訂正の場面を見せた事がない立派な先生です。聴いていて、なるほどと思いました。親御さんなど周りから見て絶対に問題ない人ほど、当人達は食指が動かないんですよね。完璧なイエス様よりは、チョイ悪のジローラモといった所でしょうか。なぜなのか考えてみました。


 結婚相手が完璧な人であったら、こちらは長い人生コンプレックスの連続で苦しむ事になるでしょう。どの分野でも勝ち目はないのですから。それよりは、
「こんな事も知らなかったの?」
「これ中学校で習ったはずだろ?」
と、互いに小さな優越感を味わえる程度の不完全な人間同士の方が、幸福度は高そうです。とは言え、ジローラモ氏が実際どうなのかを私は知りません。ここはあくまで程度問題ですけどね。

 私は学習指導でも生徒指導でも、はたまた結婚相手でも新車でも、目標の8割満足出来るならそれで100点満点だと思っています。そんな目で世間を見ると、気分がグッと楽になります。


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川柳 :  お姉ちゃん 洗顔すると 別人だ   (みるくてぃー)

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1954. HIMARIさん

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                    HIMARIさん (中日新聞Web版より)

 12歳のバイオリニストHIMARIさん(本名:吉村妃鞠)は、8歳でロシアの音楽コンクールで特賞グランプリ、10歳でアメリカの名門音大カーチス学院に入学、そして今まで40以上のコンクールで全て1位をとってます。YouTubeに昨年の報道ステーションの動画があったので載せておきます。演奏は7分30秒から始まります。

 彼女は、
「コンクールは自分のためだけに演奏するから嫌いだけど、コンサートはみんなのために演奏するから好き。人を幸せにできるバイオリニストになりたい。」
と言います。こんな哲学を持っている天才なので大学の厳しい指導にもついていけるのだと感心しました。

 担任のカヴァフィアン先生は言います。
「幼い頃から有名な音楽家でも、きちんと成長しなかった人が多くいます。私には、彼女を一流にすると同時に彼女のキャリアをきちんと計画する責任があります。」

 天才と呼ばれてしくじった何人かの芸術家やアスリートが目に浮かびます。天才に対して、周りはその才能を伸ばそうとするあまり一般常識や人間関係を学ぶ機会を奪いがちです。HIMARIさんには、そんな不幸に陥る事のないよう、カヴィファン先生の指導を信じて思う存分十全な人生を謳歌してもらいたいと願っています。

〇報道ステーション 曲『カルメン幻想曲』
https://youtu.be/Lfe6dl8CS_A?si=uTwrpgt5bwZhVzVM

〇8歳の時のコンクール 曲『ツィゴイネルワイゼン』
https://www.youtube.com/watch?v=4H6BitFb9zw

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川柳: ばあちゃんち いたる所に カバーあり (土星ウサギのボールペン)

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1953. 立派な生徒 [学校生活から]

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                        皆勤賞 (フリー画像より)

 前回のRchoose19様のコメントに刺激されたので、「精神的に出来上がっちゃってる子供」について書かせて頂きます。

 私は、教員を超える立派な生徒達を何人も見てきました。例えば、私が初任地で初めて受け持った高2クラスの一人の女子生徒。当時の私はとてもヤンチャな生徒達を相手に悪戦苦闘の一年間を過ごしていました。その年度の終わり頃、彼女が、
「先生が日々成長していくのを感じて嬉しかったです」
と言ってくれたのです。この一言には負けました。

 また同校に一人、基礎学力が無いため授業に全くついて来られない女子生徒がいました。しかし彼女は黒板をしっかり見て授業を受け、皆勤賞をもらって卒業していきました。学校生活の中で何一つ手を抜かない姿勢から、彼女はまるで観音菩薩のように見えました。

 一方ひどい暑さの炎天下、木陰に座って監督する先生をしり目に、2時間わき目もふらずに除草作業を続けていた農業高校生もいました。見事な職人魂を感じ、彼ならどんな場面でも信頼されるに違いないと感じました。

 知識や技術の豊かさと人間性の豊かさは全く別物です。恥ずかしい話、知識の量だけで人間性の低さをカバーしようとする教員も確かにいます。こちらは、むしろ他山の石とすべき反面教師です。つくづく「人皆わが師」と感じます。

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川柳 : 夏休み 休めた頃が なつかしい  (名有りさん)

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1952. 大学入学共通テスト [学校生活から]

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                    大学入学共通テスト (読売新聞オンラインより)

 大学入学共通テストが終わりました。校長先生の許可を得て始めた自宅からの夜のリモート講座には6名の生徒が参加し、週5日の日程を最後まで全員頑張りました。私も張り切って、倫理20年分、政経26年分という大量の過去問をこなしました。12月の模試で偏差値66という好成績を取る生徒も出て、本番が楽しみでした。

 ところがふたを開けてみたら、期待した程の点数がとれていません。私は反省せざるを得ませんでした。数多く過去問に当たる事は、効率的ではなかったようです。試験問題は年々思考力を問うものが増えており、また五択問題でも正答が一つから五つまでの「組み合わせ」で答えさせるものが増えてます。来年は「正答なし」が正解という意地悪な問題も出るかもしれません。

 後日、落ち込んでいた一人の生徒から手紙をもらいました。そこには私への厚い謝意が述べられてあり、反省しきりの私は大いに慰められました。中に私をウルっとさせた一節がありました。
「受験は自分の為だよと周りは言うけれど、自分の為だけだったらこんなに最後まで頑張れません。必死になってくれる先生の姿が私の力の源でした。」

 私は十分な知識はつけてやれませんでしたが、精一杯指導した姿が生徒に役立っていたと知って、目から鱗の落ちる思いでした。そして、来年度こそもう一工夫凝らした「思考力を高める指導」を是非したいという元気をもらいました。

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名言 : 「大事な事なので、一回しか言いません。」 大事なことなら何回でも言ってくれ。(らっこちゃん)


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1951. お遍路 [雑感・気づき]

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            『超体感 四国お遍路の旅』の1シーン(同番組より)

 NHKの『超体感 四国お遍路の旅』を見ました。お遍路は四国一周約1400kmを歩いて、88か所の札所(寺)を巡る旅です。番組は旅の準備品から空海の人生まで集めた秀作でした。

 お遍路さんの中に29歳の俳優の卵がいました。彼はお金が無いので屋根のある所を探して寝袋で旅を続けています。仕事は月に一つ程なので、自分はサラリーマンになった方がいいのか悩んでいました。するとシェアハウスのオーナーが5万円渡してくれて、
「これでお遍路回ってこい。何かがつかめる。」
と言ってくれたそうです。靴はオーナーからもらった大きめのものなので、彼の足は豆だらけでした。

 その後カメラは地域の説明に移り、最後に八十八番札所にやって来ました。すると偶然彼もそこにやって来たのです。晴れやかな顔で、
「俳優を続ける事にしました。オーディションに受かるかどうかは結果であって、そこを目標に進む中で自分が成長する事の方が大事だと気付いたのです。」
と言います。これがお遍路の功徳なんですね。

 私は今年3年生を教えました。彼女達も大学合格を目標に必死に頑張りました。私は、そのねばり、工夫、信頼感などが彼女達の人間的な成長に大きく寄与するのを見てきました。合格する、しないはむしろ一つの道標のようなものであって、目標を立てて懸命に取り組む所に高校生活の真の意味があると感じます。

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狂歌 : したい事 カラオケスタバ ショッピング やりたくない事 受験勉強  (N.H.)

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1950. プロセス [雑感・気づき]

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                         テトリスのタイトル画面

 テトリスというゲームが好きです。詳しいルールは分かりませんが、スマホで次々と落ちて来るブロックを単純にはめている内にレベル770になっていました。何が楽しいかと聞かれると困るのですが、どんな景品が手に入るとかいくら儲かるといった大きな目標があるわけではありません。1回ごとの16ラインとか18ラインという課題ラインを消していく事自体が楽しいのです。

 これって恋愛に似てる気がします。その時その時の小さな目標をこなすプロセスが楽しいのです。マッチングアプリを利用して、最初に結婚という目標あっての恋愛は少し違う気がしますが。テトリスも恋愛も、目的到達の手段でない所に真実の味わいがある気がします。

 曹洞宗開祖の道元禅師は修証一等という言葉を用いて、
「坐禅は悟りを開くための修行ではない。座る事がそのまま今の悟りなのだ。」
と言いました。ウルスラ=レギンは、
「自己探求の旅に目的のある事は良い事です。しかし、結局大切なのは旅そのものです。」
と書いてます。

 テトリスは、目標に向かって時間に追われる高校生の皆さんにはお勧めしませんが、人生、時々立ち止まってゆっくり今の幸せを味わう事は大切な気がします。

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川柳 : 先生の 急な質問 困り果て  (A)

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1949.大阪人 [雑感・気づき]

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大阪のヒョウ柄のおばちゃん(フリー画像より)


長い事お休みを頂きました。大学入学共通テストが終わったので、再開させて頂きます。

 以前、ケンミンショーで大阪人の会話特集をやっていました。例えば、知らない人から自分のズボンのチャックが開いていると指摘されたら、
「明けてんねん」。
ほっぺにご飯粒がついてると言われたら、
「非常食やねん」。
「後から食べんねん」とも。
恥ずかしい場面を、千載一遇の笑いのチャンスととらえるそうです。素晴らしい文化だと感じました。

 昔、大阪出身の若い先生と一緒に勤務した事があります。彼は生徒指導部に配属されていましたが、生徒の挑発的な発言に対しても、まずは「さよかー」と軽くいなし、「ほな聞くけん、もういっぺん言ってみてな」と身を乗り出します。私は、このカウンセリング・マインドに舌を巻いたものです。

 宮城県出身の教員だとこうはいきません。下手すると、くさびを打ち込んだような膠着状態になります。大阪人は初対面でも身内のようなフレンドリーな対応をめざすと言います。この姿勢は、小中高を問わず学校の先生が身に着けるべきテクニックと感じました。ただ番組の最後に、大阪人は発言には責任を持ちたがらないとも言っていました。それが、最後につける「知らんけど」だそうです。でも、これもひっくるめて「軽い会話」のテクニックは、私達東北人に必要だと感じました。知らんけど。

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名言 :  好きなYouTuberで 人柄がわかる。
(らっこちゃん)

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