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1380. 表現力 [雑感・気づき]

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                               精神科医 片田珠美氏
 
 どんな集団にも「厄介な人」はいるものです。場の空気の読めない人や責任逃れに終始する人等々…。将来、皆さんが入社した会社にそんな先輩や上司がいた場合の上手な接し方を、精神科医の片田珠美氏が次のように書いています。

①「あれ、顔が疲れているね。残業続きなんじゃない?」定時に帰宅する後輩に、軽い冗談のように嫌味を投げかける先輩。こんな先輩には、自分が傷ついている事を気づかせる事が大事。「心配していただいているようですが…」「冗談のつもりかもしれませんが…」といった『クッション言葉』を置き、「そんな事言われると気分が落ち込みます。」などと伝える。

②企画書を提出したところ、上司から何度も修正を命じられ、そのたびに徹夜で直していたのに、結局最初に提出した形に戻す事になったケース。無能力な上司に対する防御策は、とにかく記録に残す事。やりとりはできるだけメールや書類で行い、口頭の場合でもメモを残しておく。「迷惑をかけたくないので…」「お手間を取らせたくないので…」などと、一応持ち上げるふりをするのも有効。

 有効な言い方と言えば、東京医科大学の西研教授が、自分と対立する考え方の人に意見を言う時は、「あなたの意見は、私にはこう聞こえますが、この理解でいいですか?」と聞くといいと言っています。こちらも事を荒立てない素晴らしい表現だと感じました。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 人にCDを貸すと、別の人から返ってくる。
(シャケ)

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1379. 信頼 [ニュースより]

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                   走れメロス

 8月27日の毎日新聞年によると、2020年には65歳以上の一人暮らしのお年寄りが男性で15.6%、女性で22.4%になる見通しです。その中には身寄りが無く、自分の死後の葬儀や諸手続きをどうすべきか不安を抱える人も少なくないそうです。

 こんな不安に応えて、三井住友信託銀行は昨年12月から「おひとりさま信託」というサービスを始めました。依頼者は契約時に最低300万円を預けますが、必要経費を差し引いた残金は死後に希望先に振り込まれます。契約すると、病院からの引き取りと葬儀・埋葬、パソコンやスマホのデータの消去、家財等の整理、知人への訃報連絡、電話・電気・宅配等への解約、さらにはペットの引き受け手探しまでやってもらえます。依頼者の要望は「エンディングノート」に記載しておきます。さらに同行は依頼者の携帯に定期的にショートメッセージを送って安否確認もしてくれます。

 これからの時代、家族のいるいないにかかわらず、こんな人生の終え方が広まっていきそうです。ところで、契約が履行されたかどうかは、誰がどうやって確認するのでしょう。結局「信用」するしかないんですよね。安心して生きられる社会の基本には、人間同士の信頼感が不可欠と感じました。こちらの構築の方はなかなか大変です。

〇三井住友銀行の「おひとりさま信託」について

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名言 : 百円玉を拾おうとかがんでそれが銀紙と分かった時、その体勢の説明がしにくい。
(熊)


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1378. 死について [学校生活から]


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                                         AED(自動体外式除細動器)

 先日、ストア派のゼノンの授業を行いました。彼は、調和ある宇宙を支配している「理性」は、この地球の自然をも支配しており、人間もそれを分有していると言います。したがって、私の「理性」は私一人だけに作用しているのではなく、他者の理性ともつながっており、宇宙にもつながっている事になります。

 調和ある宇宙を支えている「理性」に従って生きていけば、あらゆるものと調和し、安心の境地に生きる事になります。ここから彼は「自然に従って生きる」事を人生の目的としました。私もこの考え方に賛同します。宇宙理性を追い風として歩む人生なら、これほど心強いものは無いと思うからです。抵抗勢力は自然消滅していく事でしょう。死についても、私は「自然に従って」死にたいと思っています。

 授業中、死についての話になりました。私は生徒達にお願いしました。
「もし私が授業中に倒れても、AEDなんか使わないでね。」
「AEDって、廊下にある赤い箱でしょ。」
「そう。せっかく死ねたんだから、そのままにしておいて下さい。」
「何もしなくていいの?」
 生徒達、顔を見合わせていましたが、やがてひそひそ声が聞こえてきました。
「それって、犯罪になるんじゃない?」
「死体遺棄…

どうやら「そのまま」の意味が、少々はき違えて受け取られたようでした。

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名言 : 「~おたく」より「~ファン」と呼ばれた方が響きがいい。 (455)

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1377. プロ [教育の話題]

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                マジックのセット

 かつて、生徒達がなかなか自分の授業に乗ってこない事を悩んだ一人の先生が、高価なマジックのセットを購入し、授業の中で披露してみました。すると生徒達は目を丸くして、大喜びしました。「静かに授業に取り組んだら、次もまた別のマジックを見せてやるから」と、その先生は満足していましたが、結局その授業はその後も成立しませんでした。生徒の歓心を買おうという「下心」が、生徒達にはすっかり見透かされていました。

 この他にも、授業を中断した花見・職員室の暴露話・キャンディ配布・下ネタ等々、皆さんも似たような例を経験しているのではないでしょうか。生徒達はその時喜びますが、やがてそんな先生を軽蔑するようになります。授業が成立しない時、色々試行する事は必要ですが、生徒が求めていものをはずしてはなりません。教育のプロとして、生徒が授業料を払って求めているものをきちんと提供する義務があります。

 これは教員だけに限った事ではありません。将来皆さんがどんな職業についても、自分に求められているものを敏感に感じ取って下さい。時代と共に微妙に変化していきますから。

プロが職務に専念している姿は美しいものです。今回、私はこれを書きながら、自分自身が授業中に余計な話の多い事に気づきました。今後は、無駄話をどれだけ削ぎ落すかが課題です。

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名言 : やらないで後悔するよりやって後悔した方が、後々自分の宝物になる。(ミッキー)

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1376. 高齢者講習 [雑感・気づき]

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                           講習会場の自動車学校

 70歳以上のドライバーに課せられる「高齢者講習」の通知が届いたので、行ってきました。2時間で5100円、良い刺激になりました。教室内はかなり高齢のお年寄りばかり、…と感じたのですが、そこは74歳までの教室で皆さん私とほぼ同い年。自分はもう少し若いと思っていた私は、自己認識の甘さを痛感させられました。

 講義では、高齢者は「意地を張らないこと」と説かれました。「信号無視で進んで来た車は救急車と思え」との講師の言葉は名言でした。視力検査では動体視力を初めて測定されました。動体視力とは、小さな白点がだんだん大きくなってきて、検査用の「C」型のマークが見えた時に、その切れ目と同じ方向に手元のレバーを倒すというものです。「ヤマカンで三回はずしたら、機械は停止します」と脅かされ、少々遅れ気味に押していたら視力0.4と出ました。

 最後は実車運転。どこを評価されるか分からない緊張感が走ります。昔、独学で免許を取ろうとした友人を思い出しました。彼は実技試験の出発時、座席の位置を直すつもりで背もたれを倒し、サイドブレーキを外すつもりでボンネットを開け、その場で失格になりました。(No.1143)

 終了後、「スムーズで良好。」との評価を頂きホッとしました。緊張の一日でしたが、高齢者の事故が多発する昨今、自分を知るためにもこのような機会はもっと増やしていいと感じました。

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名言 : 三者面談で嫌なのは、面談中より待っている時。 (松竹梅)

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1375. 預かりもの [宗教的感覚]

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                                    りんご

 宗教哲学者ひろさちや氏のお話です。

①小学校で、「4個のリンゴを3人で分けたら1人分はどうなりますか。」という問題が出された。もちろん答えは「1個と三分の一」。ところが、ある子供が「1個」と答えた。答案では×をもらったが、その子は「残りはお母さんにやる」と言う。「1個と三分の一」だけが正解というのは学校だけでよい。家庭では家庭の物差しで子供を測ってほしい。それは、「子供は仏様からの預かりもの」というまなざしである。

②知恵遅れの子供を持つ知人の話である。その子は三人兄弟の真ん中だが、おやつでも何でも三人揃わないと絶対に食べない。ある日ケーキが二つあった。そこでその子に一つ、兄と妹に半分ずつに分けて食べさせようとしたら食べない。気づいた母親がそのケーキを半分にして自分も食べた。すると、その子も喜んで食べた。「損得の知恵はないかもしれないが、この子には仏様の知恵がある」、そう親は感じたという。そして、「その子は、仏様の知恵を学ばせるために、仏様が遣わしたのだ」と、感謝している。

 我が家の孫にも同じ思いを抱いた事があります。眠っている父親のそばで遊んでいた4歳の孫は、突然来客が来た時、三個しかないきんつばの一つをそっとパパのそばに運んでいました。(No.973) 見ていて、私の心が温かくなりました。

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名言 : 中途半端に寝坊すると焦るが、ものすごく寝坊すると開き直る。 (キノコノヘッド)

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1374. 坊主頭 [地歴公民科]

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                            坊主頭の似合う市川海老蔵氏

 高校時代、私は柔道部に所属していました。ある年、公式試合に負けた事を理由に部員全員が丸刈りにされ、坊主頭がこんなに屈辱的だと初めて知りました。

 1970年代に中学校で校内暴力の嵐が吹き荒れた時、指導しあぐねた全国の教育委員会や中学校長は丸刈り強制の校則を次々と打ち出しました。全国の男子中学生の三分の一が坊主頭になり校内暴力は治まりましたが、1981年に熊本県の中学生と彼の両親が、男子生徒への丸刈り強制は憲法違反とする訴訟を起こしました。

 提訴理由は、①女子には丸刈りを求めておらず、これは性別による差別禁止の憲法第14条違反。②別学区には丸刈りを強制しない中学校もあり、これも居住地による差別にあたり憲法14条違反。③頭髪という身体の一部の切除を法律の定める手続きによらずに求めているのは憲法31条違反。④髪型は思想表現の手段であるので、表現の自由を保障している憲法21条違反。⑤髪型の指定は学校教育法の学校長の裁量権を逸脱し違法。

 1985年、熊本地裁は「教育的効果に疑問はあるが、違法とは言えない」と原告の主張を退けました。しかし世論が変わり、2013年に中学校の丸刈り強制は全廃されました。

 あんなに嫌だった坊主頭でしたが、同級生の多くが禿げてきた昨今、薄くなった我が頭を再び丸刈りにするのも全然悪くないなあと感じています。

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川柳 : 感じない 地球が回る スピードを (M.S.)

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1373. 女性差別? [雑感・気づき]

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                                  相続の順位

 2018年の民法改正で確立した「配偶者居住権」という新しい権利をご存じですか?

 今の民法は、突然夫が死んだ場合、遺産の受取り分を妻二分の一、子供二分の一としています。例えば、夫婦の住宅の財産価値が2000万円、残された現金が3000万円の場合、財産価値の合計は5000万円です。妻と子でこれを折半すると2500万円ずつになります。したがって妻が家をそのまま受け継ぐ(2000万円)と、手にする現金は500万円だけです。

 しかし改正民放では、「家に住む権利」と「家を所有する権利」を半々に分け、妻には「住む権利(1000万円分)」を与える事としました。よって妻は現金の方も1500万円得る事ができます。一方子は、家の所有権(1000万円)と現金1500万円を手にしますが、母親が死んだ後はその家の全ての権利を手にします。この改正は女性に「安心感を与えるため」だそうですが、私は不思議に思います。

 そもそも、なぜ「子」に親の財産を得る権利が発生するのでしょうか?先祖代々の遺産なら別ですが、夫婦二人で築き上げた財産であれば、夫が死んだらひとまずその所有権は100%妻にあると思うのです。調べると、子のない夫婦の場合、夫の財産の三分の一は夫の親のものとあります。おかしくありませんか?「配偶者」とは記していますが、まだまだ日本では女性差別が残っていると感じます。もし私に認識違いがあるなら、是非教えて下さい。       
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川柳 : 理想事 並べてみれば 現実逃避 (Y.K.)

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1372. ディープ・フェイク [地歴公民科]

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    リアル渡辺直美さんと会話するフェイク直美さん(NHKの番組より)

 NHKスペシャル「リアルvsフェイク」を見ました。思い出すのは、つい数カ月前のトイレットペーパー買い占め騒動です。「無くなる」とのフェイクニュースが三日間で89万件に広がり、全国のスーパーなどからトイレットペーパーが消えました。今やフェイクにも、かつて経験した事のない動きが現れてきているそうです。

 その一つがAIのディープラーニングを駆使したディープ・フェイク。AIが顔の筋肉の5万箇所から表情を読み取り、音声を分析し、それを用いてまるで当人が語っているかのようなリアルな映像を作り出す技術です。番組では、司会の渡辺直美さんがマッスル体型になり「不倫してしまいました」と語るリアルな映像が流されました。

 これを見破るAIソフトも研究されてはいますが、ディープ・フェイクの方もそれに合わせて進化するので、まさにいたちごっこです。まだ有効な対策はありません。番組は、様々な情報を集めて判断する私達の情報リテラシーが求められていると結論付けていました。

 恐ろしい時代になりました。しかし、フェイクのような悪意ある情報には、聞き苦しい言葉遣いのタイトルなど、どこか非常識な部分が見え隠れしているものです。価値観が多様化した現代ですが、私達は常識の範囲を見極めるしっかりした目を養う事が大事だと感じました。

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川柳 : 点数が 悪いものから 先に言う (T.M.)

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1371. 宗教 [宗教的感覚]

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                              伊勢神宮の本宮前

 「誰よりも懸命に神さまに祈りを捧げ、『幸せになるため』に信仰に身を委ねた祖母の最期は、控えめに言っても悲惨だった。」これは、昨日のインターネット上に載っていた宗教三世のライター・五十嵐大さんの文章の一部です。五十嵐さんは、小さい頃に祖母から強制された新興宗教で人生が大きくゆがめられたと感じています。

 私も幼稚園の頃、近所のお婆さんが我が家に新興宗教の勧誘に来て、なかなか帰らなかったのを憎らしく思った記憶があります。そもそも「幸せになるため」に信仰するという姿勢が間違っていると感じます。この姿勢は、神様や仏様を自分の幸せのために利用しているにすぎないからです。

 102歳で亡くなった私の祖母はクリスチャンでしたが、「幸せになるため」に祈っている姿は見た事がありません。彼女は生前、「ここまで生かしていただいた事には心から感謝してるよ。でも呼ばれたら喜んで行かせてもらうよ。」と言っていました。彼女の神様に対する思いは、「願い」ではなく「感謝」でした。私はこれが信仰の本来の姿だと思うのです。伊勢神宮でも、本宮は感謝の気持ちを伝える所であって、願い事は別宮でしなければなりません。

 神様に感謝できるという事は、「神様の意図を感じ取れる」という事なのではないでしょうか。ここから生きる希望と勇気を頂くのが正しい宗教だと、私は思っています。


** 高校生のコトバ **************************

名言 : 何か悪いことをした時に限って、母の足音が聞こえてくる。(excel)

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1370. 弱さ [宗教的感覚]

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                         アウシュビッツで殉教したコルベ神父

 長崎の修道士小崎登明氏(92歳)の話を聞きました。原爆が落とされた時、小崎氏は長崎市内の洞窟の中で魚雷製造の作業をしていました。ドンという音が聞こえて外に出たところ、家々は破壊され炭となった人々は顔から両目と舌だけが出ていました。林の中では、数日前に自分をビンタした先輩が腹を裂かれて横たわっていました。その彼に向って氏は「いい気味だ」と言って助けもせずに去ったそうです。その出来事が、原爆の日の心のしこりとなっていつまでも残りました。一人になった氏を浦上天主堂が救ってくれ、以後修道士の道を歩んでいます。

 氏は、やがてコルベ神父の事を知ります。神父は、脱走者が出ると連帯責任で10人が死刑にされるアウシュビッツ収容所で、死刑囚の一人の男性の身代わりに名乗り出て、亡くなりました。その男性はコルベ神父に謝意を伝えたかったのですが、私語が禁止されていたため言えませんでした。ただ神父のまなざしは優しく安心せよと語ってくれたそうです。男性はその後良心の呵責にさいなまれ続けました。

 小崎氏はその男性と会い、その握手のぬくもりの中にコルベ神父の愛を感じました。そしてそれを今、長崎で原爆の語り部として小中学生達に伝えています。小崎氏は語ります。「今生きている人は誰しも弱さを抱えている。弱さの中に生きる意味がある。それが感謝であり、それを糧に私達は前進すべきだ。」と。良いお話でした。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 自信や勇気があるから色々な事が出来るのではなく、色々な事を頑張ってきたから自信や勇気があるのだ。 (コーヒー)

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1369. 楽な仕事 [思い出話]

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                         今も時々見かける交通量調査

  高校生の中に、「楽して稼げる仕事はないですか」と聞いてくる人がいます。その時は、こんな私の経験談を話しています。

 大学生の頃、夏休みにアパートの仲間達と「楽して稼げるバイト」探しをしました。できるだけ体を動かさずにすむ仕事を探していたら、交通量調査という仕事が見つかりました。期間は短いのですが、二人でペアになり、24時間交差点でトラックや乗用車などの通行量を調べる仕事です。

 二人がどんなルールで交代しようと自由です。ただし両隣の交差点でも測量しているので、いい加減な仕事はできません。一日目は、首都高速への入り口の横でした。全ての車がブーッとふかして登るので鼻の穴が真っ黒になり、頭も痛くなりました。翌日は別の場所になりホッとしました。

 終了後、アパートでこれを話したら、もっと楽な仕事を見つけた友人がいたのです。彼はマヨネーズ工場で、一日中座りっ放しでベルトコンベアー上の卵の選別をする仕事でした。エアコンの効いた快適な環境で、しかも一カ月以上の長期契約。彼のドヤ顔が忘れられません。

 ところが二、三週間経った頃、その彼がゲンナリして言いました。 「職場じゃ時間の経つのが遅くて、遅くて。連日卵ばかり見続けていると、気が狂いそうになってくる。」

 人間、体や頭を動かさないと、仕事への意欲も生まれない事を知りました。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 二人の時は名前で呼ぶのは照れるけど、みんなの前では名前で呼びたい。(ピアス)


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1368. 苦労 [学校生活から]

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                            Aさん用のフリガナつきの問題用紙
 三年生の試験監督をしました。昨日採点した『倫理』について「だいぶ難しかったようだね」と言ったとたん、一斉にギャーッという悲鳴が上がりました。コロナ禍のせいで、三年生は今回の試験一回で進路先を決めざるをえません。精神的には本当に辛そうです。
 
 とは言え、答案用紙に向かう生徒達の姿勢は様々です。さっさと書き上げて瞑想モードに入っている生徒、何度も書き直ししながらもがいている生徒、早々とあきらめてスリープモードに入った生徒。しかし懸命に頑張る生徒は、どこに座っていても輝いて見えます。
 
 三年前に来日した中国籍のAさん。入学当初は試験問題の日本語がうまく読めなかったため、問題用紙にフリガナがふられました。私も週一回、乙武氏の「五体不満足」を教材に、中国語を教えてもらいながら彼女の日本語学習のお手伝いをしてきました。人の倍以上努力した結果、今彼女は通常の答案用紙で受験できています。
 
 苦労している分、彼女は人との接し方に甘えがありません。また、これ以上の迷惑はかけられないという緊張感も見られ、自分のやるべき事は最後まできちんとやりとげます。人生観も、同年代の生徒達には大差をつけているように感じます。この謙虚で力強い生き方の方が、真の「生きる力」と言えそうです。教科の点数は目に見えますが、苦労は見えない所で実力となっていくのですね。
 
** 高校生のコトバ **************************
どどいつ : 何となくだが 舌を見てたら 予想以上に 引いた夏 (平城京)

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1367. 夢 [雑感・気づき]

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                            旅館のおもてなしのお菓子

 私は幾度となく「これは夢じゃないか」と思いながら生きてきました。高1で一酸化炭素中毒になった時、このまま記憶力が衰えていくのではと絶望しましたが、大学に入って回復し「夢じゃないよね」と喜んだものです。長い間逆子で心配させられた長女が正常分娩で生まれた時も同じでした。最も強く感じたのは、30歳で半分あきらめていた宮城県の教員になれた時です。

 さらに東日本大震災で我が家は半壊となりましたが、その年がちょうど私の退職年だったので退職金で無事再建できました。昨年の顔面神経マヒにも驚かされましたが、その後無事回復しました。私の人生は「これって夢じゃないよね」の連続でした。でも今は夢でも全くいいと思っています。

 蝶になって大空を自由に飛んでいる夢を見た荘子が、目を覚まして、「自分が蝶の夢を見たのか、蝶が今人間の夢を見てるのか区別がつかない」と言ったという「胡蝶の夢」という話があります。夢も現実も区別はできないというたとえですが、私はどちらを歩もうが「その時を楽しめば良い」と思っています。

 さらに、予想して生きても人生には「予想外」がつきものです。だから人生余計な期待も悲観もしないで気楽に生きるのが良いと気づきました。ちょうど旅先の旅館で出されるものを楽しみに待つような生き方です。期待をしなければ、期待外れもありませんから。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : 友達に 麦茶をもらい 思うこと うちの麦茶が 一番うまい (無糖)

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1366. 民主主義 [地歴公民科]

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                           宮城県知事時代の浅野史郎氏


 2004年、宮城県の浅野知事と東川県警本部長が、議会で「大ゲンカ」を繰り広げました。当時、北海道や高知県などで、警察が捜査報償費を不正に蓄財し、署長等の飲食費、餞別などに流用していた事実が明らかになりました。宮城県警も同様との情報を得た知事は、県警に会計文書の閲覧と捜査員の聴取を要求しました。しかし、県警は一旦閲覧を許したものの、知事の対応を不満としてその後は「捜査に支障が出る」と認めず、鋭く対立したのです。

 知事は、議会に透明度の高い情報公開条例案を提出しましたが、多数派の自民・公明の後押しで警察の修正案の方が通り、それを知事が再議権を行使して阻止しました。結局知事案は認められず、怒った知事は警察予算の執行を停止、県警は不足分を警察職員によるカンパで賄うという異常事態に発展し、宮城県民は治安の悪化を大変心配しました。

 その後、東川本部長は転勤し、浅野知事も公約通り12年で知事職を降りたので、この「ケンカ」は物別れとなり、次の村井知事は当選後直ちに警察予算の凍結を解除し、警察の運営は通常に戻りました。

 当時、知事と議会は鋭く対立しましたが、私はあれこそ健全な民主主義の姿だと感じました。真の民主主義は、性悪説を前提としたチェックシステムで守られるべきものと思っています。これは今も私の良い教材となっています。

〇浅野知事の河北新報への寄稿


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名言 : 一階から「ごはんできたよ」と言われて降りてみれば、「ごはんの用意して」と言われる。 (お姉ちゃん)

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