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1624. エピクロス [学校生活から]

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                     日本で最初のホスピス「大阪淀川キリスト教病院」

 先日、勤務校でかつて私の向かいの席にいらした先生がお亡くなりになりました。また数年前は私の隣の席の先生も亡くなっています。職員室内で非常勤講師の座る一角には、リタイアした私のような高齢の教員と教員採用試験を受験しているような若い教員の二種類が机を並べていますが、お亡くなりになる話が続くと、私も自分の最期を考えざるを得なくなります。

 死について、古代ギリシアの哲学者エピクロスが次のように言っています。
 「死は最も恐ろしいものとされているが、実は我々にとっては何ものでもない。なぜなら、我々が生きている時、死は我々の所には無いし、死が我々の所にやってきた時には、我々はもはや存在していないからである。」
 「死を予期する事で恐怖を感じるのは愚かな事」
さて皆さんはどう感じますか。

 私は死の恐怖に二種類あると思っています。一つは死の直前の苦痛に対する恐怖、そしてもう一つは死後の世界についての恐怖。前者はホスピス・ケアが一般的となった今、さほど恐れなくてもよくなりました。問題は後者です。「ない」と思って死んでみたら「あった」というのが最悪ですね。という事は、「ある」と思って生きて損はないようです。どうなるかは全く分かりませんが、そんな努力をしながら最後の時を楽しみに待ちたいと思います。

 皆様、良いお年をお迎えください。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : いとこたち どうしてそんなに 出来が良い (R.Y.)

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1623. メディアリテラシー [ニュースより]

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                           警察犬の訓練 (日刊県警ニュースより)

 「犬と人間の嗅覚は同程度」という記事が、今朝の河北新報の「河北春秋」欄に載っていました。東大の池谷裕二教授が、「犬が人間の一億倍も嗅覚が鋭いという説は誤りだ」という米国の研究成果を週刊誌で紹介しているというものです。空港の麻薬犬が麻薬を感知できるのも単純に鼻を対象に近づけるからで、人間も犬のように鼻を近づければ麻薬をかぎ分けられるそうです。

 「エーっ」と驚きませんか?私が調べた限りネット上でそのようなデータは見当たりません。むしろ航空自衛隊入間基地では数十頭のシェパードに不審者対応や爆弾探知訓練を行い、全国各地の航空自衛隊基地に警備犬として送っているという事が分かりました。

 正反対の情報をどう読み解くか、ここにメディア・リテラシーが求められます。これはメディアが伝える情報をうのみにせず、主体的に解読する力を意味します。まずは複数のデータを照合する事が大事です。となると、この入間基地の実例がものを言います。確かに人間もにおいで判断する事があります。柔道部に所属していた高校時代、誰の柔道着かはにおいですぐに判断できました。しかし土の中に隠れている地雷を人間がかぎ分けるといった話は聞いた事がありません。池谷氏の話の真偽判断には、もっと多くのデータが必要です。

 どんな情報でも、一回「ホントかな?」と疑ってかかってみて下さい。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 不幸は感じやすく、幸福は気づきにくい。  (雪見だいふく)

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1622. 年賀状 [雑感・気づき]

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                               「招き虎」

 年賀状という風習は面白いなあと感じます。何十年も会っていない人から、「昨年中は大変お世話になりました」と書かれて来たり、もう二度と会う事がない人にも「今年もどうぞよろしく」と書いたり。 年に一回だけのこんな形式的なやり取りですが、はがきの文面を見た瞬間に相手の顔と声がよみがえります。年賀状だけで、一生に何回も過去に戻る楽しみを味わえます。私のお正月の大きな楽しみの一つです。

 小学生の頃は、プライバシーの概念など全く無かったので、クラスでは住所を知らせ合ってみんなで枚数を競ったものでした。クラス担任の先生には、クラスのほとんど全員が出しました。中学生になると、恋心を隠した真面目な文面のはがきをドキドキしながら出したりしましたが、だいぶ日が経って届いた返事はいたって事務的で、行間を読む事はできませんでした。

 私が教員になりたての40年前は、まだ私達にも生徒から年賀状が届いていました。山奥の田舎だったので、それも彼らにとっては大きな楽しみだったのだと思います。年始の挨拶に家に遊びに来る生徒までいましたから。

 今は虚礼廃止のムードの中、年賀状も年々少なくなってきています。でも、私は人柄のあらわれた文字に触れると心が和みます。私は、できるだけイラストをはがきに描くようにしています。来春は「招き虎」を書きました。このすばらしい習慣、私はまだまだやめられそうにありません。

** 公庫合う制のコトバ **************************

名言 : 「緊急事態」は乱用すると「日常」になる。  (ね子)

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1621. 年相応 [雑感・気づき]

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                             クリスマスパーティー

 一昨日、孫が電話で今日25日の自宅でのクリスマス会の案内をしてきました。お招きされたら喜んで受けるのがジジババの義務。「楽しみに行くからね」と答えました。彼は小学二年生、まさに「正直者の見本」のようです。誕生会の日の朝は胸がいっぱいでご飯が喉を通りません。でも妹の誕生会は、途中で何となく悲しくなります。

 今日、約束の12時に3分遅れで到着しそうになったら、自宅から200m手前の角まで出てきていて、私の車を見るなり走って戻っていきました。こんな可愛い時期もあと数年。皆さんと同じ高校生になってもこんなだったら、逆に心配です。子供には時期に見合った立ち居振る舞いがあり、親はそれをさみしく感じつつも慰められ、励まされ、楽しませてもらっています。

 「年相応」を考えた時、71歳の私にふさわしい立ち居振る舞いは何かを考えました。殉職覚悟で持ってる知識を教え続けるべきか、余力を残して後進に潔く道を譲るべきか…。先日、校長先生にこの気持ちを話しました。
 「私はこの仕事が好きなのでいつまででもやりたいのですが、若い良い先生がいれば遠慮なく採用されて下さい。私はここまで勤めさせていただいたので、喜んで身を引きますから。」
すると校長先生は、
「ありがとうございます」
と微笑まれました。『天命を待つ』、これが今の心境です。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 朝起きて 時計見るより スマホ見る   (たけのこの里派)

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1620. 夫婦 [雑感・気づき]

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                似たもの夫婦 (フリー画像より)

 ラジオで、長年連れ添った夫婦は顔が似てくるかという話題になりました。ミシガン大学のザイアンス教授がこの研究では有名だそうです。110名(55組)の被験者達は、結婚25年後の自分達の顔が似てるかと質問され、全員が似てきたと信じていました。教授は、25年以上連れ添った夫婦は共通感情を持つ事が多く、感情は顔の表情で表現されるので、二人の顔に同じような皺が刻まれると推論しました。

 ところがネットで調べると、これに対する反論も多くありました。一つは、
「似ている夫婦は、結婚した時点で似た顔の相手を選んでいる」
というもの。また、
「胎児は血液を介して父親の遺伝子を母親の体内に送り込むため、妻が夫に似てくる」
というもの。そして
「似ているという事自体思い込みで、AIを利用した顔認証でもそれは証明できない」
というものなど多数あります。結論はまだ出ていません。

 我が家で言うと、我ら夫婦の笑いのポイントが似て来た事は確かです。私達は旅行や座禅、気功など長年一緒にやってきて、その中で世の中の出来事や人物に対する評価も交わしてきました。その多くは共通認識となっています。昔から違っていた感覚や変わらない信念は個別に存在しますが、結婚後に共通になったものも少なくなく、それらに対する二人の表情が他人には似て見えるのだと思います。長方形と正方形ぐらい違う二人の顔の輪郭は、今後も似そうにありませんが。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 母親に こき使われた 夏休み  (セミ)

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1619. イエスの洗礼 [宗教的感覚]

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              イエスを洗礼するヨハネ

 今回は聖書の話です。洗礼とは、過去の自分を捨てて神と共に生きる事を宣誓する儀式ですが、「マタイによる福音書第3章」では、完全な人イエスも洗礼者ヨハネから洗礼を受けたとあります。罪なきイエスがなぜ人々の前で洗礼を受けたのでしょうか?

************
 (要約)ヨハネがヨルダン川のほとりにやって来た時、多くの人々が洗礼を受けに彼の所に集まって来た。かたくなに律法を守ろうとするパリサイ派やサドカイ派の人々も来たが、ヨハネは形式のみを重んじる彼らに怒って言った。「そのままで神の祝福が受けられると思うな。悔い改めて行動せよ。私は水で洗礼するが、私の後にやってくる私より力がある方は聖霊と火でお前たちに洗礼を授ける。」その時、イエスがやって来た。ヨハネは「私はあなたを洗礼できません。」と言ったが、イエスは「今は洗礼をしてもらいたい。」と語り、ヨハネはそれに従った。イエスが水からあがると、「これは私の愛する子、私の心にかなう者である。」という天の声がした。
*************

 私はこう考えます。この日、神はヨハネの洗礼を通してイエスが神の子である事を公に知らしめました。さらに、イエスの「聖霊と火による洗礼」とは、彼の言葉が人々の悪い心を焼き捨て、聖霊の伝える神の意向に人々を一体化させる力を持っている事を明らかにしたのです。 と、色々解釈可能な所が聖書の魅力です。             

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名言 :  頼ると その後しばらく機嫌が良くなるお父さん。  (とくになし)

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1618. 希望 [ニュースより]

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         南極上に空いたオゾンホール (2005年環境省のHPより)

 新型コロナウィルス感染症の対策として、日本人はマスク着用とアルコール手指消毒の徹底、不要不急の外出と酒類提供店の営業の自粛を全員が真面目に実行しました。すると、昨年の冬から風邪とインフルエンザがほとんど姿を消しました。学校の集会でも、咳が全く聞こえません。本気で取り組めば、世の中から風邪もインフルエンザも撲滅できる事が分かりました。これって、すごい事ですね。

 南極のオゾンホールが極地近くの人々に健康被害を与える事が判ったのが1970年代でした。そこで85年に「オゾン層保護のためのウィーン条約」が採択され、87年にはより具体的な行動目標を掲げた「モントリオール議定書」が批准されました。198の国や地域が批准し、その結果オゾン層破壊物質の99%が削減されました。今世紀半ばにはオゾン層は回復し、皮膚ガンや白内障などの被害は回避される予定です。この議定書は、現在最も高い成果を上げている多国間協定と言われています。これも快挙ですね。

 以上二つの事例は、私達人類が一丸となって取り組めば「できない事はない」との希望を私達に与えてくれます。これを励みに、私達は正しい事には最後まで希望を捨てずに取り組んでいきましょう。子孫に多大な迷惑をかける事になる原子力の各種利用も、世界各国が本気で取り組めばやめる事は出来そうです。

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どどいつ : 望んだ祭りは 軒並み中止 それでも空に 咲く花火  (ね子)

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1617.  立派な運転手 [雑感・気づき]

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                             三種類の車線

 朝、追い越し禁止の一車線の道を、最高速度ピッタリの時速40kmでゆっくり走る車がいました。後ろには車間距離をせばめたあおり気味の車や車体を小刻みに左右に揺らしてイラつく車等、約10台がノロノロと (この表現自体良くないですね) 連なっています。待望の三車線の交差点に着いて、追い越し際に運転手を見ると中年の女性ドライバーでした。

 彼女は全く正しい運転をしていました。凡人の私達の方が、つい「もう少し周りの状況を感じ取ってくれたら…」と甘えた気持ちになっていたのです。もしソクラテスやイエスがドライバーになったら、絶対彼女のような運転をするに違いありません。最高裁判所の裁判官達もそうすると思います。ただ私は、人々の心に寄り添う判決を下す裁判官とはどのような人なのかを考えてしまいました。俗な私は裁判官にはなれそうにありませんが、なれなくて良かったとも感じています。完璧を目指す不完全な人生の方が、楽しみが多い気がするからです。これも、甘えですけどね。皆さんは皆さんで考えてみて下さい。

 ところで、車線に三種類あるのをご存じでしたか?白い破線と白い実線と黄色い実線です。この違いは、追い越しの場面で、白い破線は「追い越しも、はみ出しも可」、白い実線は「追い越し可、はみ出し禁止」、黄色い実線は「追い越しも、はみ出しも禁止」です。バスやタクシーの模範的な運転手さんを見つけて、是非将来はそのような運転のできる人になって下さい。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : 「そうなんだ」 そう言って欲しい だけなのに 不幸自慢を 語り続ける  (清掃員)

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1616. 高校生のコトバ [学校生活から]

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                カルメンの衣装 (フリー画像より)

 高校生のちょっとした一言が、私にとっては若返りの秘薬です。

 二学期中間考査の答案を返し終えました。自分の答案をもらうまでの生徒達の顔には緊張感が漂っています。一人の生徒が叫びました。
「アーッ、下がったー!」
かなりショックだったようです。しかし、答え合わせと点数ミスの確認を終えた頃には笑顔に戻り、やって来ました。
「私、ポジティブに考える事にしました。」
「オッ、いいね、どんな風に?」
「点数が下がったという事は、それだけ伸びしろが広がったということ。」
「なるほど…」
「あとは可能性に賭けます。」
あまりよく解りませんが、この切り替えの早さは素晴らしいですね。期末考査、期待してます。

 生徒の作文を読んでいた隣席の音楽の先生が、クスリと笑いました。
「どうしたのですか?」
「1年生の授業で、生徒達にビゼーの『カルメン』のDVDを見せたのです。その後、感想文を書かせたたら、一人の生徒が『闘牛士の歌』の場面の盛り上がりは、忘年会の二次会のノリと書いてきて…」
思わず私も吹き出しました。高校一年生で、忘年会の二次会のノリまで知っているとは、なかなかです。なんせ女子高生ですから。

 皆さんのみずみずしい感性は、たとえ世慣れしていっても枯らさないで欲しいと願わずにいられません。

〇「カルメン」YouTubeより
https://www.youtube.com/watch?v=BqfIQgKH48s

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 夏休み 人と会わずに 心病む  (おおさん)

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1615. メタバース [ニュースより]

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               メタバース  (フリー画像より)

 6日の読売新聞に「メタバース」という仮想空間の記事が載っていました。メタバースとはインターネット上に作られた三次元空間で、人はVRゴーグルを装着して現実とは違う空間で生活できる世界です。

 この研究はさらに脳とAIをつなぐ技術に繋がりつつあります。牛場潤一慶応大学教授は、脳波を事前に学習させたAIで人の「意図」を読み取る研究に取り組んでいます。新聞にはグーグルのストリートビューを脳波で自由に動かしている学生の写真が載っていました。

 さらに新興企業アラヤの金井良太代表らは、脳内に埋め込んだ電極で計測した脳波をAIが解析し、その情報を離れた場所にいる人間の脳に直接電気信号の形で送り込む研究をしています。「実現すれば、あらゆる人の脳と脳が直接つながり、瞬時に思いを伝えられる」と話しています。

 そして渡辺正峰東大準教授は「脳と機械を接続し、人間の意識を機械にアップロードすれば、肉体が無くなっても機械に宿る意識は残る。この意識を仮想空間につなげば、人は仮想空間でいつまでも生き続けられる」と不老不死の実現を目指しています。

 自分の脳内の情報が瞬時に他人に伝わるという事は、隠し事どころか白昼夢もうかうか見られません。体が不自由な人の補助手段程度までならまだしも、私はこのような研究は軽々にすべきではないと思います。その前に、科学者や教育者、学者などがきちんとしたールを決める方が先と感じるからです。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : 早退を する日に限り 先生の 私に向ける目 疑いの目 (マサオ)

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1614. リーダー [ニュースより]

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                            コロナワクチン (フリー画像より)

 新型コロナ感染症の予防接種は、BCG接種同様、改正予防接種法で国民の強い『努力義務』となりました。米国のバイデン政権は、来年1月から100人以上の従業員を抱える職場でのワクチン接種を『義務』化しました。全50州の内の26州が反対しています。

 ところで日本では、最近「ワクチン二度接種者は時給100円アップ、勤務三か月後に1万円支給」といったワクチン接種を手当の上積みの条件にした民間企業の求人が出てきました。10月の2万件から11月で15万件と大幅に増えています。

 政府は2月に「接種をしない事を理由に解雇など不利益な取り扱いをする事は不適切」との見解を示しましたが、接種済みの人への手当上積みについては「差別的とは言えない」との立場です。これについては、接種できない人についての丁寧な議論が必要との慎重意見もあります。

 世論が二つに割れる政策の決定には、世論を見極め、一人で責任を負って決断を下す聡明なリーダーが求められます。決断の正否は、次の選挙で審判が下されます。そんなリーダーの代表を私はドイツのメルケル首相に見ます。岸田首相がどこまで彼女に近づけるか、注目しています。最近は、世論を封じて話も聞かない時代錯誤の指導者が巾をきかせてきていて、何とも不気味です。ちなみに私は、コロナ対策に関しては日本政府のやり方を支持します。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 母と子の バトルはいつも 無観客 (めい)

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1613. A先生 [宗教的感覚]

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                仙台大観音 (高さ100m)

 勤務校に、キリスト教の授業を受け持っている50代のA先生がいます。儀式の時はパイプオルガンを弾き、聖書の朗読や解説も行い、まるで当ミッションスクールの司祭のようです。宗教以外にも現代社会や政治経済の授業を持っており、一日中校内を忙しく動き回っています。

 そんな彼には、一人の追っかけの女生徒がいます。なぜか彼女はクラスの仲間とはうまく話ができず、休み時間になるとA先生の所にやって来て悩み事を相談します。部長職もこなすマルチタレントのA先生は、忙しい中でも嫌な顔一つせずじっと耳を傾けて優しく相談に乗ってあげています。

 先日、私がA先生に

「まるで先生、慈母観音のようですね。」
と言ったところ、先生は、
「いえいえ、彼女が観音様なんですよ。」
とおっしゃいました。

 生徒に傾聴するあの姿は、確かに生徒から出てくる言葉を観音様のものと見る姿勢から来ているように見えます。聞き役に徹し、自分の意見を押し付けません。道元禅師が、『悉有は仏性である』と説いたのを思い出しました。山川草木、人も動物もあらゆるものは仏が姿を変えたもの、という感覚です。これを私も最近少しずつですが実感し始めました。幼稚園児を見ていると心が洗われる思いがするからです。宗教的に突き抜けた人は、何を見ても仏様に出会えるんですね。彼は私の目標です。


** 高校生のコトバ **************************

名言 :  先が見えない時は、先を見ないのが一番。   (ツボ探し)

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1612. 正直 [雑感・気づき]

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                             歯科医の治療器具 (フリー画像より)

 歯科医で治療を受けていたら、隣の椅子に老人男性が座りました。看護師がやって来て先生に耳打ちしています。
「だいぶ歯ぐきの腫れがひどいのですが…」
「じゃあ、掃除してあげて。」
「はい。」
 「掃除」とは、超音波の出る電動器具で歯石を取る治療です。私も何度か受けています。看護師が
「痛かったら左手を挙げて下さい。」
と言ってくれるのですが、我慢ギリギリの痛みが続き、辛いものです。

 隣で治療が始まりました。チーッ、チーッと数回音がしたら、
「イデーッ!」
という怒声が上がりました。腫れた歯ぐきには刺激が強かったのでしょう。大抵の人はメンツがあってなかなか手を挙げづらい所を正直に叫んだ姿に、うっすら感動を覚えました。

 言いたいけどメンツがあるから我慢って事、結構多いですよね。高校生の皆さんは、バスの中で降りる人から
「ここ座る?」
と言われた時、
「はい」
と素直に言えますか?

 大人だと、居酒屋でお酒を注文した時に勝手に出される『突き出し』という料理。精算時に500円程取られます。法律的には、入店時に
「私『突き出し』不要です。」
と言えば出ないそうですが、それがなかなか言えません。


 でもあのおじいさんの正直さから、私は、
「これからは不要なメンツを捨てて自分に正直に生きよう」
と決意を新たにしました。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 :テスト前 現実逃避の 模様替え  (雪見だいふく)

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1611. 成功体験 [雑感・気づき]

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            今どきの高校生バンド (フリー画像より)      

「人生は学校である。 そこでは幸福より不幸の方が良い教師である。 (フリーチェ)」

 昔はこんな叱り方でうまくいったという成功体験も、今は頼りになりません。41年前、小中学生相手に塾の講師をしていた私は、初任校でツッパリ男子高校生との適切な距離感がつかめずとても苦労しました。

 ついつい声高に怒鳴ったり出席簿でたたいたりと乱暴な指導もしました。当然反発も大きく、町はずれに借りた自宅前の道路を、夜中にバイクが数台バリバリと騒音を立てて往復する日もありました。厳しいやりとりでしたが、それでも当時は何とかなっていたものです。指導のコツがつかめて職場が楽になったのは二年目からでした。

 今、私はミッションスクールでの楽な教員生活を送らせてもらっています。あのような指導の出る幕はありません。と言うよりは、できる時代ではなくなりました。先生が大声で叱る場面すらほとんど見られません。ただ、こんな幸せな環境下では先生方も意識的に指導に臨まないと成長できないだろうと感じます。

 私自身、こんな教員生活を続けていたら退化しそうです。授業開始2分前に職員室を出てトイレに行って開始ベルに間に合ったら、その後3分前には出られなくなりました。ある時トイレが混んで遅刻しました。以後、気を付けてはいるのですが、ついた癖はなかなか取れません。成功体験こそ気をつけるべきものと自戒しています。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 大変な時、それは「大」きく「変」われる時。  (雪見大福)

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1610. 必勝ジャンケン [雑感・気づき]

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                         ジャンケン・ポン (フリー画像より)      

 今回は無意識の世界に働きかける「お遊び」を二つ。一つはジャンケン必勝法。妻にやってみたら確かに勝ちました。

〇ジャンケンのやり方
①相手に「一回勝負」とジャンケンを申し入れます。
②二人で「最初はグー」と言ったら、すぐ「ちょっと待って」と右手の手のひらを相手に見せて一瞬呼吸整えます。
③改めて「最初はグー、ジャンケンポン!」でグーを出します。
④相手はチョキを出すので、こちらの勝ちとなります。

・私の手のひらの残像が相手の無意識に働きかけているらしいのです。どうぞ試してみて下さい。ただし一回限りで。

〇もう一つは「性格テスト」
①「次の5つのタイプに、あなたの嫌いな順に番号をふって下さい。」と相手に言って、紙にA~Eのタイプを書きます。
 A:お金にルーズな人
 B:相手によって態度を変える八方美人
 C:異性関係にだらしない人
 D:優柔不断で内気な人
 E:自分の好きなように行動するわがままな人
②相手が書き終わったら、解説をします。
「人は無意識に自分と同じ欠点に対しては甘くなります。」
「あなたが最後に選んだ欠点
 =あなたが最も許せる欠点
 =あなたが克服しようとはしていない欠点」
「心当たりはありますか?」(おそらくズボシ!)

・どちらも相手は私に無意識下で操られています。世の中、色々ありそうで怖いですね。

** 高校生のコトバ **************************

どどいつ : 学校行くとき 元気ないけど 学校終わると 元気出る (銀魂大好き)

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1609. 本当の自由 [宗教的感覚]

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        「心のささげもの」カード。この裏に誓いを書きます。     

 塩釜市に住むデンマーク人僧侶ミロ雲龍氏の「本当の自分 本当の自由」というインタビュー番組を聴きました。なぜここで毎日同じ暮らしを続けているのかを聞かれたミロ氏は答えました。

 「それが楽だからです。若い時は『その時好きな事をやるのが自由』と思っていたのですが、それは自分の欲の奴隷になっているだけと気づいたのです。自由とは、したい事から離れていく事。したい事があってもしないで済む事。それが本当の自由です。『したい事』とは一時の願い。『自分の人生をこう生きたい』は本当の自分が決めています。それができるよう、瞬間的に出てくる自分を捨てるのです。決まった時だけ食べれば食べ過ぎません。」

 「座禅会で、よく『どう一日暮らせばいいですか?』と聞かれます。人それぞれ違います。私は、『明日をどんな一日にしたいか、あなたにとって一番いいスケジュールを書きなさい。』と言います。それは本当の自分が決める事。『まあいいや、今日はしなくても。』という声が必ず私達の中に起こりますが、それに負ずに自分が本当にしたい事をやればいいのです。これが本当の自由です。」

 今日、学校で「心のささげもの」というカードが生徒と教員全員に配られました。一人一人がクリスマスまで、毎日必ずやり続けると決めた事を書くものです。初めての試みですが、私にはミロ雲龍氏の言葉と重なりとても新鮮でした。私は「夜は必ず12時までに床に就く」と書きました。

〇このインタビューを文字に起こしたものがネット上にありました。
http://h-kishi.sakura.ne.jp/s-292.htm

** 高校生のコトバ **************************

どどいつ : 学校卒業 友達リセット いつの間にやら 友ゼロに  (ハムハー)

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