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1385. 「おとな」表現 [地歴公民科]

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                     イザナギとイザナミ (Wikipediaより)

「私達、このたび結婚する事になりました。」
婚約等の報告で、よく耳にする表現です。うっすら大人の雰囲気を感じますが、これを、
「私達、このたび結婚いたします。」
に変えると、少々違和感を覚えます。どこが違うのでしょうか。

 古事記によると、日本の国土はイザナギ・イザナミの婚姻によって生まれ、天照大神もイザナギの左目を洗った時に生まれ出ました。政治学者の丸山眞男氏は、これを「なる」神と呼んで西洋的な「つくる」神と区別しています。また歴史学者の相良亨氏も、日本人は歴史を「おのずからなりゆくいきおい(それ自身の内からなる勢い)で進む」と受け止める傾向があると書いています。

 古来日本人は、「なりゆき」を重視する民族と言えそうです。言い換えれば、宇宙の変転に身をゆだねるような楽観的な生き方を理想としてきたのですね。言われてみれば、学校からの案内文書も、「卒業式を挙行する運びとなりました。」が一般的です。したがって、結婚も自分が主体的に相手を決めたというよりは、「気づいたらそうなっていた」という表現の方が「おとな」なのです。

 授業でこの話をしたところ、大学入試の面接で悩んでいるA子さん、すぐに食いついてきました。
「面接でもそう言った方がいいですか?」
ハッ?そこはダメでしょ、やる気無しと見られますよ。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : 宿題の 邪魔しに友が 家に来る されどつき合い 断り切れず (3番1)

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