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1383. 悟り [地歴公民科]

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                  復元された長明の住んだ方丈 (下賀茂神社境内)
 
 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」
方丈記を書いた鴨長明は浮き沈みの激しい人生を歩みましたが、50歳で出家し、3m四方の簡素な庵(方丈)に住んで方丈記を書きました。

 方丈記には当時の五大災厄 (大火、竜巻、福原京遷都、飢饉、大地震) の様子と人々の悲惨な状況が詳しく書かれてあり、報道記録としても価値があると言われています。苦労して建てた家屋が一瞬で崩壊し、自分自身や多くの人々が嘆き悲しむ中で、長明は自然の前の人間の無力さを悟ります。そして家や地位や金銭に無常を感じた長明は、家を捨て、人間関係を捨て、欲を捨てる事をめざして隠遁生活に入りました。

 こうして、こだわりを捨て去った所に真の安らぎがあると人々にすすめた長明ですが、最後に彼は自分の心に問いかけます。
「道理を極めようと山にこもったのに、私の心は濁ったままだ。因果の帰結か気が狂ってしまったのか?」と。
 しかし心は答えず、ただ口から『南無阿弥陀仏』が二、三回出ただけでした。

 最後の最後に、執着を断ち切れない自分を吐露しているのですが、ここがこの随筆の良さと言われています。結局「こだわりを捨て去ろう」とするのも一つのこだわりであり、それすら捨て去った「脱力の境地」が、口から出た二、三回の『南無阿弥陀仏』なんですね。断捨離の苦手な私、悟りとは程遠い毎日ですがホッとします。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 帰宅して 最初の言葉 ご飯何?
(ケンドーガール)

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