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1197. 写実画 [雑感・気づき]

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     五味文彦先生の油絵「あかいはな」 (五味先生のご好意による掲載です。)

 二年前に行った千葉市のホキ美術館(No.802)から、岩手県立美術館での展示会の案内状が来たので、見てきました。神業としか思えない極限の写実画が64点展示されていました。

 上の五味先生の作品は、水とバラの花が入った三つのグラスとガラス製の水差しが白いテーブルクロスの上に置かれた絵です。まず驚いたのは、これらグラスの口です。円形ならコンパスで下書きも可能ですが、全部楕円です。それでいて歪みも線の太い細いもなく、油絵なのに筆のタッチが全く見えません。グラデーションの部分はまるでスプレーでもつかったかのようです。

 美術館の学芸員によると、五味先生は池の底に沈んでいる枯れ葉を描く時、一回底に全ての葉を描き、その上に水の色と水面の反射の色を重ねていくそうです。きっとこの絵にも、これだけの透明感を出すための様々なテクニックが使われている事と思います。

 写実画が写真よりずっと現実感を持つのは、画家が注ぎ込んだ気の遠くなるような根気を、鑑賞者が作品から無意識の内に感じ取るからではないでしょうか。例えば別の画家でしたが、毛や毛玉の一つ一つを虫眼鏡でも使わなければ描けないような細かいタッチでびっしり描き込んだ毛布の絵からは、そのフワフワとした温かい質感がしっかり伝わってきました。皆さんも、是非本物の持つ迫力を美術館で味わってみて下さい。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 泣いたのは 自分の甘さに 悔しくて (pino)

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