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1715. 朝日訴訟 [地歴公民科]

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              一人で裁判を戦った朝日茂氏         

 一家の大黒柱が倒れた時、私達は生活保護に頼ります。現在、未就学児二人を抱えた一人親世帯には、月額18万3980円(仙台市)が支給されます。金額がここまで上がった陰には、朝日茂氏の悲しい裁判闘争がありました。

 1955年、結核の朝日氏は生活保護費月額600円をもらって、岡山県で入院療養していました。やがて兄が1500円を送ってくれたのですが、病院はそこから治療費900円を徴収し、朝日氏には600円を渡して生活保護費を打ち切りました。朝日氏はこの金額が少な過ぎると裁判に訴えました。そして一審勝訴、二審敗訴の後、亡くなりました。肌着は2年に1枚、パンツは1年に1枚など、この600円の算出根拠は極めて厳しいものでしたが、当時の中山マサ厚相は、裁判でこれを妥当と反論しました。

 教科書等の論調は朝日氏支持です。しかし私は中山氏もお気の毒と感じます。彼女もこの数値が低すぎる事は十分感じていたはずですが、まだまだ復興途上で傷痍軍人も多かったあの時代、彼女は国家財政の破綻を回避するためあえて泥をかぶったのではないでしょうか。

 朝日氏の願いは叶いませんでした。朝日氏、中山氏、裁判官のそれぞれが自分の使命をしっかり果たしました。十分にやりとげた事で、それぞれは一区切りついた事でしょう。私はここに裁判所の存在意義を感じるのです。様々な立場の人がいる社会では、人事を尽くして天命を待つ場が必要と思うからです。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : つるっぱげ 光が反射 まぶしすぎ それに何だか 神々しいや (ハレのち)

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