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1309. 短歌 [雑感・気づき]

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                           与謝野晶子氏 (1878~1942)

〇やわ肌の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道を説く君 (与謝野晶子)
 訳:女性を一度も抱かずに道徳ばかり説いているあなた、寂しくありませんか?

〇しろかね(銀)も くがね(金)もたま(宝石)も 何せむに まさ(優)れる宝 子にしかめやも (山上憶良)
 訳:銀も金も宝石も、子どもという宝物には到底及びません。

 「五・七・五・七・七」は、作者の微妙な感情をそのまま読み手に伝えてくれる不思議なリズムです。上記の二つは、いわばポジティブな感情ですが、先週同僚の先生から借りて読ませてもらった天使園元園長先生の短歌集からは、何とも言えない子供の悲しみとそれを優しく受け止める先生の愛情が伝わってきました。

〇一人にて サッカーボールを 蹴りてゐる 少年は待つ 母の電話を
〇悲しみは 沼のごとくに 重からん 己が出自を 知りたる夕べ
〇明日は園を 出でゆくといふ 少年の 激しき嘔吐 廊を駈けゆく
〇緊張の あまりかシクと 泣き始む 明日は父が 会いに来るとふ
〇アカシヤの 並木の下を 歌いつつ 子ら帰り来る ここが家ぞと
〇良い子だと あめ玉ひとりに あげたれば 園長室前は 子らの行列

 実の両親の愛情を受けずに育った子供達にも明るい未来あれと心から祈らずにいられません。日頃粗雑な私を一瞬でこんな気持ちにさせる短歌は、本当に奥が深いと感じます。

天使園:経済的な理由や虐待など、保護者と生活することが難しい児童を入所させ、家庭的な環境で育てている仙台の施設。(No.850 No.852参照)

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 先生の息子と自分の弟が友達という、ちょっとした優越感。 (KY子)

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