1316. 人は見かけで… [思い出話]
会社に入ると、「やっちゃらんねぇ!」と中年男性が上気した顔で服を着替えていました。辞表を提出したと言います。私は面接で即合格となり、その夜から交通量の多い道路のガス管工事の現場勤務となりました。現場監督は、驚いた事に昼間辞めると怒っていたあの男性でした。会社側の懇願に応えて渋々残ったらしいのですが、荒れていました。
仕事は私ともう一人の相方と彼の三人だけ。私と相方は、夜7時から真夜中の1時まで立ちっ放しで足がジンジン痛みました。30分程度の休憩の後も朝6時まで再び立ち通しです。そんな勤務が四五日続き、私達は彼が大嫌いになりました。
そんなある朝、仕事を終えた私は公衆電話を利用してから帰宅しました。自宅に着くなり、財布を電話ボックスに置き忘れた事に気づいたのです。大急ぎでボックスに戻りましたが、ありません。学生証と全財産が入っていたので呆然となりました。
するとそこに彼がやって来て、「見つけたから、取っといたぞ。」と私の財布を渡してくれたのです。彼は私が来るのを2時間近く帰らずに待っていてくれたのです。その瞬間、彼への恨みは霧消し、ただただ感謝するばかりでした。人は「見かけで」どころか、「そう簡単には」判断できないと反省しました。
** 高校生のコトバ **************************
名言: 「テスト何点だった?」と聞く人ほど、実は自分が聞かれたい。 (Peach☆)