373. どん底 [雑感・気づき]
狂歌 : 「友達」の 意味を疑い 生きてきた 氷の心を 溶かしたのは君 (さこつ)
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どん底
先日の坐禅会で、 瀬戸内寂聴氏の生き方が話題になりました。 自分の欲望に正直に生き、 夫と三歳の長女を捨てて不倫に走り、 その後同時に二人の男性との三角関係の恋愛に入った彼女。 一時は出身地の人々全てから白眼視されました。
その恋愛体験を描いた小説 『夏の終り』 が1963年度女流文学賞を得て、 彼女は女流文学者として自立しました。 その後中尊寺で得度し、 比叡山での修行を経て現在は京都に庵を持つ尼僧として青空説法などの布教活動にご活躍です。 長女とも和解し文化勲章も受章しました。
彼女の人生、 決して勧められたものではありませんが、 「どん底」 をどう生きるかの一つのモデルになりそうな気がします。 堕ちる所まで堕ち、 「もはや戻る場所はない」 という厳しい現実が、 逆に彼女に大きな力を与えたのではないでしょうか。 「禍福はあざなえる縄のごとし」 と言われますが、 幸せ不幸せは 「交互にやって来る」 というよりは、 「考え方次第でいかようにも反転する」 という事だと思います。