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1138. 英国の混迷 [地歴公民科]

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                   暗中模索の舵取りに苦しむメイ首相

 ロックの社会契約説では、国民の信託を受けた統治者が悪政を行った場合、国民は統治者を追放する権利を持つとされています。しかし、そもそも信託するに足る統治者が見つからない場合はどうしたらいいのでしょうか?

 EU離脱をめぐる英国の混乱が、まさにこの状態です。メイ首相はEU離脱派ですがキャメロン前首相はEU残留派でした。二人共保守党です。「EUからの移民が、英国民の所得を下げている」との声が上がり、キャメロン首相がEUからの離脱の是非を問う国民投票を実施しました。すると52%の僅差で離脱派が勝利したため、首相は辞任しました。

 この混乱の背景には、政治家やエリートへの国民の不信感があります。福祉国家をめざした英国でしたが、1980年代のサッチャー首相は新自由主義政策(「自分でできる事は自分で」)を採り、低所得者層が置き去りにされました。2003年のイラク戦争では大量破壊兵器のウソで179名もの犠牲者を出しました。2008年のリーマンショックでは、不況下で増税された金が大規模金融機関に流れました。国民の利益を守ると言いつつ、所得格差を強めた政府を国民は全く信用していません。

 今後英国がどうなるか、誰も分かりません。私達は、社会契約説発祥の英国の動きをしっかり見て、学んでいきましょう。日本でも、沖縄が日本離脱を言い出さないとも限らないのですから。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 誰でも一度は現実よりも幻の方を好きになる。 (T.S.)

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