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873. 則天去私 [地歴公民科]

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                             文豪 夏目漱石

 英国留学で西洋流の個人主義を学んだ夏目漱石は、帰国後人々に自我の欲求に忠実に生きる「自己本位」の生き方を説きました。しかし利己主義との違いをうまく説明できず、晩年は自己を捨てて大きな自然と一体となる「則天去私」という宗教的境地を説くようになりました。まさに思想の大転換でした。

 倫理の教科書に出て来る先哲の思想も、その多くは漱石の則天去私同様に自分の私利私欲(煩悩)をどう理由をつけて打ち消すかの方法論を説いているように見えます。例えば、老子は「無為自然」を、以下荘子は「万物斉同」を、ストア派ゼノンは「宇宙理性」を、カントは「道徳法則」を、イエスは「隣人愛」を、仏陀は「諸法無我」を、親鸞上人は「絶対他力」を、道元禅師は「心身脱落」を…と、数え上げればきりがありません。これだけ見ても、人が煩悩をコントロールする事はいかに難しいかが分かります。

 と暗くなりかけていたら、先日ラジオで一人のお坊さんが、「煩悩があるから喜びがあるんです。」と言っていました。私の頭の中に一瞬、大輪の花火が開いたような気がしました。

** 高校生のコトバ *************************

名言 : アラームに好きな曲を設定すると、その内好きな曲じゃなくなる。 (ナガミヒナゲシ)

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