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1560. 思い出 [思い出話]

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                          特急「ひばり」

 学生時代、私が帰省する時は上野から仙台まで特急「ひばり」を利用していました。当時としては3時間58分という「短い」乗車時間は大きな魅力でした。今は1時間半ですが。

 ある年の暮れ、列車は超満員となり、客室内に入れない私は出入り口近くの通路に立っていました。本も読めず、退屈極まりない時間でした。向かい側に立っていた外国人男性も、私同様に退屈そうに見えました。そこで私は英語版のキモ試しと覚悟を決め、ドキドキしながら話しかけてみました。
「May I talk to you?」
「Sure!」
 トラック英語学習(No.168) が通じて、私は天にも昇る気持ちになりました。彼は建築家志望のレバノン人で私と同い年、日本の建物を見ようと全国を回っているのだそうです。たどたどしい英語でやり取りしている内に仙台駅に着きました。泊る所は決めていないと言うので実家に電話を入れ、我が家に泊ってもらう事にしました。当時レバノンは国際的な紛争地域だったので、私の両親はかなり不安だったと後に語っていました。

 その後しばらく国内での親交は続き、彼は私の結婚式にも出席してくれました。しかし帰国後レバノン内戦が激しくなり、彼とは連絡が取れなくなってしまいました。彼の語った言葉だけが鮮明に残っています。
「お金は旅行に使います。思い出は盗まれる心配がありませんから。」

 以来私達夫婦も、許される範囲で彼の精神を受け継いでいます。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : 友達と ちょっとさみしい 夏祭り (JAM)

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