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1089. 無用 [雑感・気づき]

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                               辺見庸氏

 作家の辺見庸氏の講演会をテレビで見ました。久しぶりの奥深い話でした。辺見氏は最近「月」という重度障害者施設を舞台にした小説を書き上げました。そこには、目も見えず言葉も話せない障がい者のキーちゃんと、「不要な人間は死ぬべきだ」と本気で考える介護職員のサトくんが書かれています。

 ご想像の通り、これは2016年の「津久井やまゆり園事件」をモデルにしています。辺見氏は、「国民やマスコミは、犯人を死刑にできるか否かにばかり目を向けていて、自分達の社会が受け継いでいる優生思想の問題に踏み込んでいない」と怒ります。それは難病患者の子孫を断種手術で絶ってきた黒い歴史であり、オウムの13人を処刑した今の死刑制度でもあります。

 彼は、「存在するからには価値を有すべし。」という思想自体、間違っていると言います。「存在するものは、望んで存在してるのではありません。『気づいたら存在しちゃってる』というのが真実なのです。だから、存在には良いも悪いもありません。」と。

 荘子も、「無用と言われるもの全てに、天地自然の用がある。(無用の用)」と言っています。それが私達には見えないだけなんですよね。死刑廃止論者の辺見氏は言います、「サトくんを死刑にする事は、国家がサトくんと同じ事をやる事だ」と。

○小説「月」についての書評
https://book.asahi.com/article/11964940

** 高校生のコトバ **************************

どどいつ : 上辺だけでも 取り繕った 寂しい笑顔 耐えられず  (金木犀)

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