1374. 坊主頭

                    　　 　　　　 坊主頭の似合う市川海老蔵氏

　高校時代、私は柔道部に所属していました。ある年、公式試合に負けた事を理由に部員全員が丸刈りにされ、坊主頭がこんなに屈辱的だと初めて知りました。

　1970年代に中学校で校内暴力の嵐が吹き荒れた時、指導しあぐねた全国の教育委員会や中学校長は丸刈り強制の校則を次々と打ち出しました。全国の男子中学生の三分の一が坊主頭になり校内暴力は治まりましたが、1981年に熊本県の中学生と彼の両親が、男子生徒への丸刈り強制は憲法違反とする訴訟を起こしました。

　提訴理由は、①女子には丸刈りを求めておらず、これは性別による差別禁止の憲法第14条違反。②別学区には丸刈りを強制しない中学校もあり、これも居住地による差別にあたり憲法14条違反。③頭髪という身体の一部の切除を法律の定める手続きによらずに求めているのは憲法31条違反。④髪型は思想表現の手段であるので、表現の自由を保障している憲法21条違反。⑤髪型の指定は学校教育法の学校長の裁量権を逸脱し違法。

　1985年、熊本地裁は「教育的効果に疑問はあるが、違法とは言えない」と原告の主張を退けました。しかし世論が変わり、2013年に中学校の丸刈り強制は全廃されました。

 あんなに嫌だった坊主頭でしたが、同級生の多くが禿げてきた昨今、薄くなった我が頭を再び丸刈りにするのも全然悪くないなあと感じています。

**　高校生のコトバ　**************************

川柳 : 感じない　地球が回る　スピードを (M.S.)

コメント 4

男子生徒の丸刈り、不当な拷問に相当すると思いやす。
傍で見ていても、爽やかでも青春でも何でもなく、ただただ気の毒に感じやす。
女子だってパーマ禁止とか。だいたい制服があること自体に矛盾を感じてやす。
学生の本分は学業！その学業に集中邁進するために足枷ストレスになるような全ての意味のない校則は廃止するべきだと思いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-08-19 12:27) 

ぼんぼちぼちぼち様、
　私は、制服のある学校と無い学校の二つを経験しました。制服のある学校では生徒と教師の美的感覚のずれが、生徒対教師のトラブルの種になりがちでした。一方私服の高校では生徒達一様に地味で、「とんでもない格好の生徒が出てくるのでは」とのこちらの心配は杞憂に終わりました。確かに制服私服それぞれ一長一短あります。指導のしやすさから言えば、私服の方が圧倒的に楽です。中学校と違って高校は生徒が選べるので、設置目的に沿って決めるのが良いと思っています。しかし小中学校は選べないので、不要な強制は極力避けるべきで、かつての丸刈り強制はあまりにも安易でした。私達教員が常に自戒すべき前例と感じます。
　コメントありがとうございました。
by サボテン (2020-08-19 21:24) 

長男が中学生のころ校則は丸刈り・・・
小学校卒業後丸刈りになりましたが、息子中２の時
発起人となり？学校側と交渉し若し違反したときは
丸刈りになることを条件に長髪が許されました。
活動的な彼は今も海外に赴任中です（６０歳を超えました(*'▽')
by 侘び助 (2020-08-20 09:20) 

侘び助様、
　何と行動的な息子さんでしょう！中学校で学校側に物申すのは、やろうと思ってできるものではありません。敬服します。それを、温かく見ていた侘び助様も見事ですね。そのような教育の成果が、現在も海外で活躍される息子さんの生き方につながっているのだと思います。
　コメントありがとうございました。
by サボテン (2020-08-21 00:11)