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1421. 悲しい希望 [雑感・気づき]

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                                ぼけの花

 私の友人のお母さんは92歳。最近認知症が進んで彼は悩んでいます。お母さんは、「私のものが誰かに盗られた」と家族を困らせます。「うちには盗る人なんていないよ。お母さんがどこかに持って行ったんだよ。」などと言おうものなら、まなじりを決して怒り出します。奥さんが可哀想だと彼は言います。

 考えてみると、我が家の95歳の母も数年前に似たような症状が出ました。いわゆる「まだらぼけ」から来る錯覚です。例えば、机にハサミを持ってきた記憶はあるのですが、その後それを台所に持って行った記憶が抜け落ちると、「私のハサミを誰かが持って行った」となるわけです。当時の母は、ハサミなどの文房具に一生懸命名前を書いていました。しかしその後「ぼけ」が進み、ハサミを机に置いた事すら忘れるようになったので、この種のトラブルは無くなりました。

 この「ぼけの進行が問題を解決する」という我が家の例を話したところ、「それがダメなの。」との反応です。彼のお母さんは昔から毎日日記をつけるのが生きがいで、そこに「何々が盗まれた」と書くため、しょっ中怒りを再燃させているとのこと。いやはや大変そうです。

 でも、今日気づきました。私の母は書道をしていましたが、今は自分の名前すらしっかり書けなくなりました。彼のお母さんも、やがて日記を書けなくなるかもしれません。今度彼に会ったら、こんな悲しい希望もある事を話したいと思います。

** 高校生のコトバ **************************

川柳 : マイペース 長所短所 どっちなの? (雪見だいふく)

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クッキー

私の母親も同じような症状でした、当時我が家は奥さんが亡くなり
母親の面倒は兄夫婦がやってくれました、何時も兄嫁が苦労した
話を聞くだけに終わり、本当に兄夫婦には感謝してます。
by クッキー (2020-11-22 10:42) 

サボテン

クッキー様、
 母を見ていると、人間いずれ自分自身の記憶力を信じられなくなる時が必ず来るという事を感じます。そんな時、自分の記憶にこだわらずサラッと人の言う事を信じられるようになるためには、家人の協力が不可欠だと感じます。特に金銭関係は疑念を持たれやすいので、ボケる前からきちんと帳簿を作って安心させておく必要があります。幸い我が家では妻がきちんと記録を取っているので、母は頼り切っています。ほんの小さな積み重ねでも、大きな結果につながる事を学びました。
 コメントありがとうございました。
 
by サボテン (2020-11-22 20:49) 

ぼんぼちぼちぼち

知人の80代前半の女性もまだらボケで、2台持ってるガラケーを同じ番号だと言い張り、
「それは違いますよ。試しに私のケータイに今、それぞれからかけてみてください」と言ったら
30年以上、家族ぐるみで付き合いのあるあっしに「そんな変な事を仰るなら警察呼びますっ!」と半狂乱、いや、完全発狂しやした。
あっしは他人なので、その女性とのお付き合いはやめさせていただきやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-11-22 21:40) 

サボテン

ぼんぼちぼちぼち様、
 かつて、アジアの発展途上国から来た大学の留学生が、国際交流行事の中で、「あなたの国は、日本にどんな事をしてもらいたいと思っていますか?」と質問された直後、「あなた方日本人は、常にそのように上から目線でアジア諸国を見下す!」と半狂乱で怒り出したところを見た事があります。こちらはボケではありませんが、心の中の小さなトゲに触れられた時、たちまち激高する人っているんですよね。以後、私はあまり親しくない人との会話での言葉遣いには注意を払うようなりました。
 コメントありがとうございました。
by サボテン (2020-11-22 23:42) 

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