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1138. 運命愛 [地歴公民科]

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                         東京医科大学の西研教授

 「運命愛、永劫回帰…」難解なニーチェ哲学を、東京医科大の西研教授がとても分かりやすく解説してくれました。

 昔、西先生の知人に骨形成不全と言う障害を抱えた女性がいました。車椅子の生活でトイレも介助なしではできません。ある日、障害者仲間で、「もし天使から『障害を取り除いてあげる』と言われたらどうする?」という話になりました。その時彼女は、「私はこのままでいいよ」と言ったのです。若かった先生は、彼女は少し強がりを言っていると思いました。

 しかし後になって、彼女は強がりではなかったと思えてきたというのです。というのも、彼女は障がいのおかげで障碍者の仲間と出会え、ボランティアの大学生達とも交友を深められました。この交流は彼女の人生にとって不可欠でとても大事なものでした。障害を無くす事は、彼女の人生を取り替える事です。きっと彼女は、障害を持った体もこれらの縁も全部含めて、彼女の人生を肯定したかったのだろうと思えたのです。「この体だからいい。これが何度繰り返されようと、私はこの人生を生きたい!」これが運命愛であり永劫回帰なのです、と。

 私は、十年前の脳腫瘍の生徒を思い出しました。彼女も亡くなる前、お姉さんに「もう一度生まれて来れるとしたら、 またこの家族のもとに生まれたい」と言っていました。(No.387) ニーチェの理想像は、私のすぐ近くにいました。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 男は「男に優しく女に冷たい女」を見抜けない。教えてやっても信じない。 (エッジ)

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いっぷく


金城基泰という投手が、4年目で20勝しましたが、その年に交通事故で視力をほぼ失いました。
特殊なコンタクトレンズをして復活しましたが、以前のような球は戻らなかったといいます。
金城さんは「もし事故がなければどんな野球人生を送ったと思いますか」という質問にこう言っています。
「……さあ、どうでしょう。もっと勝ち星は上げたでしょうが、現役はもっと短いものだったようにも思いますね。生意気のまま終わったかもしれない。……もちろん、事故なんてなければ良かったわけだけど、だれが悪いんでもないんです。それに、ああいうことがあったから、なにかちらっとね、ちらっとだけど大事なことを知ったといいますか、そんな風に思うことはありますよね」『スカウト』(後藤正治著、講談社)より
事故がないときとあってからの比較といっても難しいですが、「なにかちらっとね、ちらっとだけど」という表現がリアルだと思います。「ちらっと」=「不幸中の幸い」と私は解しました。「大事なこと」というのは、あくまでも「不幸中の」という注釈付きの「幸い」に過ぎないと思いました。
「がんになってありがとう」とかよく聞きますが、
もちろん、本人の価値観ですから、そうなんだといわれたら返す言葉はありません。
ただ、いくら、病気や障害になってこんなこともあった、あんなこともあったといったって、客観的に見て、逆に機会を失ったものも多々あり、それと比較しなければ、少なくとも合理的な検証にはなっていないですよね。
by いっぷく (2020-06-08 16:59) 

サボテン

いっぷく様、
 「失ったもの」と「得たもの」の比較、難しいですね。失った原因が自分にあった場合、人は「負け惜しみ」を言いがちです。聞いていて辛いものがあります。しかし、自分の振る舞いとは無関係に失った場合、そこに何らかの意味を見出し、生きるよすがにしようとする姿勢は、やむを得ないどころかむしろ正しい生き方と感じます。もらい事故に遭った金城選手にとって、「失ったもの」と「得たもの」の比較は無意味です。新しいスタートラインを引いてもらったと考えるしかなかったのでしょう。そして「なぜ」と考え、掴んだ結論こそが、彼の財産となっているのだと思います。
 私は生まれつき右目に青あざがあります。しかし母が「誰にでもホクロや痣の一つはある。こんな痣などお前の人生には全く影響しない」と育ててくれたおかげでコンプレックスなく成長できました。今、これが倫理の授業の教材となってます。だから突き詰めて考えると、必ず意味が見えてくるというのが私の結論です。生意気書いて申し訳ありません。コメントありがとうございます。
by サボテン (2020-06-08 23:03) 

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