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316. 成長 [宗教的感覚]

 成長
 上智大学名誉教授アルフォンス・デーケン博士の著書の中に、 博士の友人の91歳のお母さんのコメディのような明るい死の話が載っています。

 「医師の知らせで11人の子供とたくさんの孫達が病室に集まった時、 お母さんは昏睡状態のように見えました。 カトリック神父の長男の声がけで、 みんなでミサを捧げて祈りました。 ミサが終わると、 お母さんは目を開いて 「ありがとう。 ウィスキーを一杯飲みたいの。」 と言ってみんなを驚かせました。 ウィスキーを一口飲むと 「氷を入れてちょうだい。」 と言ったのです。 氷を入れると 「おいしい。」 と言って全部飲んでしまいました。 そして今度は 「タバコを吸いたい。」 と言い出したのです。 たまりかねた長男が 「医者はタバコはいけないと言ってますよ。」 と言うと、 返事は 「死ぬのは医者ではなく私。 タバコをちょうだい。」 でした。 そしてたばこを吸い終わると、 みんなに感謝して 「天国で又会いましょう。 バイバイ。」 と言って横になり、 そのまま息を引き取りました。

 その時悲しんだ子供達は一人もいませんでした。 もちろん死は悲しいのですが、 その死に際のユーモラスな明るさを思い出して、 いかにもお母さんらしい死に方だと口々に言って笑いました。 この母親、 生涯はほとんど酒もたばこも口にしない人でした。 多くの葬式に出て親族が涙を流すのを見て、 自分の死は明るい雰囲気のコメディを遺そうとしたのでしょう。 何と美しい愛と思いやりでしょうか。 このお母さんは、 ユーモアによって、 子供と孫達に生涯忘れられない貴重なプレゼントをしたのです。」(「死とどう向き合うか」より抄出。)

 人間、 乳児期から老年期までいくつかのステージがあり、それぞれに発達課題がありますが、 死を意識した時点から愛ある人はさらにもう一つ成長のチャンスがあるのを感じました。


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