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1865. 正義と良心 [ニュースより]

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                            裁判を受けるアイヒマン

 今ロシアの兵士達は、前進以外の行動は許されず、逃亡や投降の兆候があれば後ろに控える督戦隊から射殺されると言われています。命ずる指揮官も軍の指示に従っているだけで、そこには人間的な感情や理性の出る幕はありません。

 先の大戦で500万人とも言われるユダヤ人を絶滅収容所に送ったアイヒマンが、1960年にアルゼンチンで逮捕されました。裁判で彼は訴えました。
「戦争中には、たった1つしか責任は問われません。命令に従う責任です。命令に背けば軍法会議です。そういう中で命令に従う以外には何もできなかったのです。」
「連合軍がドイツを空爆して女子供や老人を虐殺したのと同じです。」
彼は無罪を信じていましたが、絞首刑に処されました。イスラエルでの最初で最後の死刑でした。

 命令に忠実に従った行為に犯罪性を問えるかが大きな議論になり、日本でも『私は貝になりたい』という元二等兵の冤罪死刑のドラマが当時放映されました。ユダヤ系哲学者ハンナ・アーレントは、
「彼の無思想性が、彼をあの時代最大の犯罪者にした。」
と糾弾し、同じ理由で日本に原爆を落とした米国も批判しました。

 為政者が国民に強いる「正義」が必ずしも正しいものとは限りません。私は、人は他人の痛みを自分の痛みと感じる「良心」に従うべきだと考えます。古代ギリシアのゼノンの言う通り、良心(理性)とは宇宙からの「調和を求める声」であり、ばらばらの人類を一つの家族にまとめる重要なツールだと思うからです。

** 高校生のコトバ **************************

どどいつ : 放置していた ゆゆしき問題 結局自分に 回ってくる  (なんちゃって) 

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tyuuri

 督戦隊とは、若い人には分からないでしょうね
 『新明解国語辞典』(第八版)では、「後方から前線の友軍を監視する部隊」とあります。
 戦線から逃亡されると、捕まえても軍法会議にかけるなど面倒なので、その場で殺されるのですね。
 日本の平和憲法がいかに大切か痛感します。

by tyuuri (2023-05-05 19:36) 

サボテン

tyuuri様、
 ウクライナ側のドローン攻撃の映像を見ていると、殺されていくロシア兵士も本当に気の毒でしょうがありません。エリツィン一味の覇権主義の強権政治の陰で多くの兵士の家族たちが悲しんでいる事と思います。督戦隊を配置しなければ維持できないほど兵士の士気は下がっているのでしょう。人間界の勧善懲悪の原理がどこまで現実化するかは分かりませんが、おそらくエリツィンの最期は相当悲惨なものになると思われます。生徒達には「よく見ておきなさい」と話しています。彼の鉄壁の守りがどんなほころびから崩れるか、私も目を凝らして見ていくつもりです。私も日本の平和憲法は変えるべきでないと考える一人です。
 コメントありがとうございました。
by サボテン (2023-05-05 22:28) 

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