小説家 (フリー画像より)

 孫のお誕生会で、娘夫婦の所に行ってきました。年に数回、娘の旦那さんと話のできる良い機会でもあります。営業の仕事柄、彼は教養を高めるために色々な本を読んでいます。私にとっては様々な情報を提供してくれる「親友」のような存在です。昨日話してくれたのは、ある文学賞を受賞した小説家についてでした。

 その小説家は、少ない収入をやり繰りしながら小説を書いています。もっと実入りの良い仕事に就いて広いアパートで書いた方が良さそうに思えるのですが、彼は
「収入を増やせば色々な欲望が出て来て、創作活動が邪魔される。書く事に専念できる収入だけの方がいい」
と、言うのだそうです。

 それを聞いて私は、老子の
『知足安分』(足るを知って、身分に安んずる。)
を思い浮かべました。高校時代、私はこの言葉が負け惜しみに聞こえて大嫌いでした。なぜ野望を持ってはいけないのか、と。しかし人生後半になるとその考えが変わりました。この意味を
「不平を言わずに、今いる場所から始めよ」
と肯定的に受け取れるようになったのです。

 一方この作家は、所持金は「少なくてもよい」のではなく、「少ない方がよい」と、むしろ積極的に清貧の価値を発信しています。私には難しい境地です。でも大成できる人とは一つ事に専念できる人であり、この心構えが容易にできる人なんだろうと感じました。異業種の方との語らいは様々な気づきを与えてくれるので、私は大好きです。

** 高校生のコトバ **************************

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