鴨のヒナ (フリー画像より)



 食事中、口の中に魚の小骨を感じました。しかし私の舌はそれを選り分けながら徐々に前の方に移動させ、最後は両前歯の間にはさんで端っこを出してくれました。こんな動きは、誰に教わったわけでもありません。



 かつて庭に据え付けた巣箱で、一つがいの小鳥がヒナを育てた事がありました。しかしある日突然、一家そろっていなくなりました。あのヒナ達も訓練なしで羽ばたいていったとしか思えません。



 私の96歳の母をはかなり認知症が進んではいますが、舌も噛まずに食事をとり、トイレもまだ普通に使えています。しかし、今何を食べているのか、今朝お通じがあったかなどを尋ねられても、全然答えられません。



 これらを見ていると、遊んだり、考えたりといった高等な活動を支えている基本的な行動様式は、誕生前から私達のDNAに埋め込まれていて、私の体は私が意識しようがしまいが自律的かつ合理的に動いているように見えます。孔子70歳の境地「心の欲するところに従って矩を超えず」とはこんな事かな、とも感じました。



 自動運転の車のような体に全てを任せて私は文章を書いていますが、実は文章の結末も筆に任せています。まだまだ拙い文章が多く、しょっ中書き直すのですが、不思議と最後はまとまるのです。「人生、きっかけさえうまく掴めば、あとはお任せして大丈夫」、これが私の人生観となりました。



** 高校生のコトパ **************************



川柳 : 新学期 始まってみれば 友金髪  (O.K.)