声がけ (ショートステイ施設のネット情報から)
                           
 94歳の母の目には、毎日の出来事の全てが新鮮に映っています。ここ数日、毎朝飲んでいるカルピスを「これおいしい。本当に久しぶり。」と喜び、ほぼ一日おきに食べる味付けご飯も「こんなおいしい味付け、はじめて。」と感激しています。こんな母を見ていると、ボケるのも悪くないなぁと感じます。

 しかし、私達が時にうっとうしくなる事もあります。食事の時、
「お先に頂きます。」
「はい、どうぞ。」
のやりとりを何回やる事か。母にとっては一回、一回がいつも今日初めての発声なのです。

「それ、もう五回言ったよ。」
と言うと
「エーッ、本当?」
と驚き、
「やーね、ぼけたみたい。」
と赤面しながら、また
「お先に頂きます。」
と始まります。まあこの程度の煩わしさなので、本当にささやかな悩みなんですけどね。

 そんな母を、昨日ショートステイ先の施設に連れて行きました。玄関脇の花壇の花に
「かわいいわねー」
と見とれて動かない母を、
「本当だね。さっ、行くよ。」
とせかしていると、施設長の男性がやって来ました。母の名を呼んで声をかけ、目を見ながら丁寧にしっかり話をし、
「ハハハハ…」
と心から楽しそうに笑っています。同じ人間同士といった感じで全く対等なのです。これはスキルではなく人間性のなせるわざと感じました。どんな社会でも、結局求められるのは懐の深い人間性なんですね。良い勉強になりました。

** 高校生のコトバ **************************

名言 : 英文をでかい声で読むヤツに限って、全然予習してきていない。  (H.T.)