ニュースキャスター (フリー画像より)

 以前職員室で、担任から再テストの結果を緊張して聞いていた男子生徒が「やったー!」と歓喜の声を上げ、励まされた返事に「これからがんばる、…ます。」と答えていました。

 時々ニュースなどで、「参加した人々は口々に『おいしかったです。』と言っていました。」といった表現を耳にしますが、これを聞くと私はあの生徒を思い出します。「おいしかった」を丁寧に表現しようとしているのですが、どこか違和感を覚えるのです。

 現在形の「おいしいです」は良いのですが、その過去形を丁寧に言おうとすると、私には適切な言葉が見つかりません。おいしい感覚は、現在形でストレートに「おいしい」か、「おいしいです」でしか伝えられない気がしました。

 調べてみると、「です」をつけて丁寧な表現にできる品詞は、名詞(山)、代名詞(これ)、形容動詞(静か)、副詞(まったく)など、活用しないものに限られるとあります。したがって活用する形容詞(白い、おいしい等)はだめなのです。「おいしいです」も厳密に言えばダメだったんですね。過去形は「おいしくいただきました」がいいそうです。

 国語の先生に、こんな時どうするかを尋ねてみたところ、「『感銘を受けました』のように表現を変えてみてはどうでしょう」というアドバイスをもらいました。なるほど、話し手の言葉を受身形に変える事でも、ぐっと大人の表現になるんですね。

** 高校生のコトバ **************************

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