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1868. 小さな親切? [雑感・気づき]

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                          高齢者 (フリー画像より)

 夕食を食べている母の所に、88歳の御婦人から電話が来ました。とりあえず私が出ると、
「昔お母様にお世話になった〇〇と申します。お母様はお元気でいらっしゃいますか?」
「お陰様で元気です。97歳なのでうまく会話ができるか分かりませんが…」
と断って、母と替わりました。案の定会話はちぐはぐで、まるで『やぎさんゆうびん』の歌詞のようです。私が再び替わって事情を説明すると、葉書で連絡して下さる事になりました。

 とはいえ、母はもう字が書けません。年賀状は私が印刷して出してますが、母は葉書の相手が誰かもほとんど判りません。生存証明のような年賀状なら、そろそろやめてもいいかと迷っています。

 先日、入れ歯を作ろうと歯医者に連れて行くと、
「食事が摂れているなら、あえて入れない方がいい」
と言われました。また手術しか治療法のない母の足のボーエン病も、医師からは、
「手術して寝たきりになるよりは、薬で共存する方がいい」
と言われました。

 高齢になると、他人が良かれと思っても、当人にとってはマイナスになる事が多くなります。このバランスを見極めるのが、家族の勤めです。だいぶ前の看護師の方のブログに、
「北欧では、認知症患者といえどもその人権を尊重します。本人が飲みたくないと言ったら薬は無理に飲ませません。」
という記事がありました。新鮮な驚きでしたが、これがむしろ本来の人間同士の在り方か、とも考えさせられました。難しい問題です。

** 高校生のコトパ **************************

名言 : 努力は絶対うそをつかない。   (S.T.)

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コメント 4

Enrique

良かれと思って気を使ったつもりが本人の為になっていないという事があると言う事ですね。かわいそうとか,気の毒という気持ちも,必ずしも本人の為にならない可能性もあるわけですね。日本人の多くは合理的思考よりも情緒に支配されがちですが,生死に関わる事もありますので事は重大です。
本人の為とは何でしょうか?人間の自然権としての幸福追求権が優先されるべきと考えます。
by Enrique (2023-03-09 07:10) 

ムサシママ

人間最後まで自然にありのままが良いですね
by ムサシママ (2023-03-09 11:33) 

サボテン

Enrique様、
 伊藤左千夫の『野菊の墓』を思い出します。主人公政夫のためと思って、母親をはじめ家族全員が政夫と相思相愛の民子と政夫との仲を裂こうと画策しました。結局民子は政夫と結ばれずに嫁いだ先で、流産が元で亡くなりました。やがて二人の純愛を知った家族は大きな後悔に見舞われたという話です。これを演劇で見た時、周りの聴衆は鼻水グスグズ言わせながら皆さん泣いていました。しかし私はこの家族の身勝手さに腹が立ち、全然泣く気になりませんでした。不完全な人間には、他人の一大事を左右する権限などありません。責任が取れないのですから。アドバイスはすべきと思いますが、最後は本人の自己決定と自己責任に委ねるべきです。こう考えると、ボケる前のリビング・ウィルは本当に大事だと感じました。ピンピンコロリと往きたいものですね。
 コメントありがとうございました。
by サボテン (2023-03-09 22:27) 

サボテン

ムサシママ様、
 理想を言えば、まさにその通りですね。でも、虫歯の痛みは取り除きたいし、盲腸ごときで死にたくはないし…。人間の欲求は、どこまで満足させるのが穏当なのでしょうか。
 生物学的には、自分の子供を一人前に育て上げれば、あとはフリーの人生です。生きる事に心血を注いできた私達、今度は上手に死ぬ事に意識を向けるべきではないでしょうか。それぞれの目的のための欲求なら、満足させるべきと感じます。50代を過ぎた頃から、こんな意識で生活していると、この世の向こうの「あの世」が垣間見えてきました。これは見ようとしないと見えない世界ですが、見る気になるとあちこちから見えてくるものです。と同時に、どう生きるかも見えてきます。まだまだ薄ぼんやりとしか見えない煩悩の私ですが、残りの人生はこの追究に時間を費やしたいと思っています。
 コメントありがとうございました。
by サボテン (2023-03-09 23:18) 

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