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1220. 演劇 [学校生活から]

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        東京演劇集団「風」の『ヘレン・ケラー』の一幕(同劇団のHPより)

 東京演劇集団「風」の『ヘレン・ケラー』を見ました。泣かされました。しかし今回、私はなぜ彼らの演劇がかくも観客の涙を絞るのかの秘密も見た気がしました。

 30数年前、私は演劇部の顧問をやっていました。その時悩んだのが、いくら国語表現の成績が良くても、どうしても演劇に向かない生徒がいるという現実でした。無意識に自分で自分の演技にブレーキをかけ、役の手前で止まってしまうのです。自分を捨てる事ができません。実は、かく言う私もそうなのですが…。

 ある年、中学時代に大変親を手こずらせたAさんが入ってきました。凝り固まった変人でした。そんな彼女が「大化け」したのは、高校生弁論大会で準優勝してからです。自信を得た彼女は、ひたすら役になりきる練習をし、とうとう三年生の文化祭では校内の大半の女生徒達が熱を上げるアイドルになっていました。彼女は、「憑依(ひょうい)」とも言えるように別人に変身できたのです。卒業後は牧畜業に進みましたが、演劇界に進んでいれば大物になったに違いありません。

 今回の劇団員も、皆さんしっかり「憑依」していました。そんな彼らだから、私の涙腺に直接働きかけたのだと思います。プロの役者のすごさです。きっと美空ひばりが歌いながら泣けたのも、そしてそんな彼女の歌だから人々が感動したのも、これと同じ原理なのだろうと感じました。

** 高校生のコトバ **************************

狂歌 : いつもより 速く感じる 毎日は 近づいてくる イヤな日のせい  (H.T.)

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coco030705

先日、吉永小百合さんの初めての密着取材というものをみました。
ようやく取材を許す心境になられたようです。(もう年だから、とおっしゃっていましたが、きれいですよね)
そのとき、新作映画の現場が映っていて、ガンに侵された女性役の吉永さんが最後のほうに、引きこもりの息子の部屋へ行って、ドンドンドンとドアをたたくシーンがありました。それが大きな音だったので、びっくりしました。やはり手がもう骨折寸前までいっていたそうです。吉永さんは「私は演技しているんじゃないんです」とおっしゃっていて、演じるときは本気で、役が現実なのだそうです。
by coco030705 (2019-10-30 00:50) 

サボテン

 いいですね、「演じる時は本気で、役が現実」というこの表現! 取り組んでいる人だから言える言葉だと感じました。竹中直人氏などを見ていると、時々どこまでが本人でどこからが演技なのか判別不能な時があります。
 よくよく考えてみれば、私も子供を叱る時や褒める時、その役になり切っていたような気がします。自分でも本当の自分と演じている自分が判別しがたくなってきました。
 面白いコメントありがとうございました。
by サボテン (2019-10-30 22:38) 

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